日本の心・さいき

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為になるかも知れない本(その239-3)

2007-12-19 09:09:18 | Weblog
 私が理事長先生から学んだことは多く、それを10程記載してみた。
その1、モノを大切にする心
 理事長先生は、非常にモノを大切にする人であった。西田家では、ご飯を一粒でも残さずに食べることが義務付けられていた様で、一階の理事長先生の机の前に置かれた紙の束を見て気付いた人も多いと思われるが、病院の業務に使ってしまった紙の裏側を束ねてメモ用紙として使われていた。私が保育器の新しいのを入れる様に頼んだ時、長年使ってきた保育器を名残惜しそうに理事長先生も院長先生(理事長先生は、初めは院長も兼用しておられたが、しばらくして、長男の方に院長を譲られた)も見ておられたのを思い出す。理事長先生自身がこの様に紙一枚にしても大切にしていたことを我々世代は見習うべきだと思う。

その2、思いやりの心
 この病院がこれ程までに大きくなった最大の理由は、理事長先生の思いやりの心にあると思う。慈恵医大で栄養失調の為に1カ年間休学、海運業をしている理事長先生のお父さんの船「宝重丸」沈没、佐伯地区医療防衛報告隊長、更には西田病院での臨床医としての苦労、経営者としての苦労、それに自分自身が晩年心臓病で苦しんでいたことからの産物であろうか、理事長先生は、相手がどの様に思っているかをいつも気にされていた。この理事長先生の思いやりの心を多くの人が学ぶべきだと思う。

その3、恩を忘れない心・感謝の心
 理事長先生は、義理と人情に実に厚い人であった。いろんな事情でいろんな人が病院を退く時、最後の別れを理事長先生の前で言う時、その多くの人は涙していた。理事長先生が、一人一人の職員の恩を忘れないで感謝していることを退く人はよく知っていたからである。

その4、企業は人なり
 著書「かなづち病院長」の本の中の「経営者の心得」の中で、理事長先生は、次の様に書かれている。
・・・私は、院長として又経営者としてこうあらねばならないと思う信念を次の八項目に分類してみた。
1、経営方針を立てる。
2、計画を立てる。
3、組織を作る。
4、意見を調整する。
5、働く意欲を盛り上げる。
6、業績を測定する。
7、人物を評価する。
8、人の訓練をする。
これらは、正確で綿密で且つ公平でなければならない。・・・
 つまり、理事長先生は、企業は人なりということを充分認識しておられた。私に、「先生の手助けとなる小児科の先生がもう一人いた方がいいが、出来たら大学からの派遣でなくちゃんと永くここに就職してもらえる人の方がいいが、こでだけは誰でもいいという訳にはいかんからなあ、田原先生と合わんことには」と言われていた。
 瀬古利彦選手が故中村清先生と初めて会った時、故中村先生は、「君は世界一のマラソン選手になれるかも知れない!」と言ったが、その時若き瀬古は、「このおじさん、少し頭がおかしいのではないだろうか」と思ったというエピソードがある。故中村清監督は、瀬古の才能を初めから見抜いていたのである。
 私の医療に対する情熱を初めから最もよく理解してくれていたのは、他ならぬこの理事長先生であった。



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