ゴーギャンの子孫。
ゴーギャンは、株の仲買人をしていた25歳の時に、デンマーク人の妻、
メット=ソフィー・ガットと結婚し、5人の子供をもうけた。

(ゴーギャン夫人)
長女、次男は短命で、父よりも先に亡くなった。
他の3人の男の子たちは、20世紀半ばまで存命していた。
そうそう~
「ポールゴーギャンの子孫…ということでした」
冴は息をのんだ。 ーーーどうゆうこと?
これからの展開に重要なことなんです。
結婚後、やがて仲買人を辞め、画家として生きていく覚悟をする。
安定した生活を捨てて絵筆を選んだゴーギャンを妻のメットは
理解できず、結婚11年後に子供たちを連れて故郷コペンハーゲンへ
帰ったしまった。以後、家族が一緒に暮らすことはなかった。
(離婚はしないが、復縁もない)
余談ですが~妻メットは、手元にあったゴーギャンの作品や、夫が
集めていた まだ売れる前の印象派の画家たちのコレクションを、
コペンハーゲンの蒐集家や画商に早々に売り払ってしまった。
現在、ゴーギャンの初期の代表的な作品や印象派・後期印象派の
優れた作品がまとまった数でコペンハーゲンの美術館に収まっているのは、
…「妻メットの仕業?」によるものなんです。
今となっては貢献と言われるべきか?・・・
この本の物語とは、離れますが~
折角なので、もう少し寄り道します…
今回は、ゴッホ・ゴーギャンの作品巡りの旅でもあるんですからね、
御両人の、作品をゆっくりこの機会に鑑賞してほしいという
私の願いもありますので…。
ご承知ください。
「コペンハーゲン」という国
まぁ、美術愛好家でも、なかなかここまでは足を延ばすのは大変
フランスやスペイン、イギリス、オランダ等々
有名作品を追いかけるだけでも 時間がなくて・・・と
ぼやく御仁が多いのでは。
そこで、このゴーギャンの初期作品の(妻、メットが売り払った)
一部をご覧ください。
その中のひとつ。
「ニイ、カールスベルグ・グリプトテク美術館」にゴーギャンの作品を
見つけました。

ゴーギャンの初期の作品から
◆「ルー・カーセルの庭にいる画家の家族」

◆「ルー・カーセルの雪景色」

◆「海岸ー1」

◆「木靴を履いたブルターニュの少年」

◆「ディエップの海岸」

如何ですか?
う~ん、普段見ている「ゴーギャン」の作品のおもむきとは、
う~ん、普段見ている「ゴーギャン」の作品のおもむきとは、
やっぱり違う感じ?
タヒチ時代の絵とは…別物って。
画家も、「初期」と「後期」では、本当に変化するものなのですね。
この物語の続きを~
だが、彼ら(残された子供たちに)子供がいたら、つまりゴーギャンの子孫がいまなお存在していたとしたら、どうだろうか。

ゴッホと同様、いまや、「歴史上著名人」となったゴーギャンと
血のつながりがあることを、その人はどう感じているだろうか。
でも、本当にゴーギャンの子孫が存在している、というのは
真実なのだろうか?
冴は、そこまで調査の手が回っていなかった。
それでも、ゴーギャンの子孫は絶対にいないとは現時点で断言できない。
まずは、ペータースの話を全て聞いてから
内容の信憑性を判断するしかない。
ペータースの話は続く~
「サラは、その人ととても親しい間柄であった。
今年の初めに、病気になり、自分はもう長くないから…
「打ち明けたいことがある」 どうか聞いてほしい と。
病床で~消えゆく命の灯火をどうにか保ちながら、サラに告白した。
そして、その後、息を引き取ったと…。
すると、「それ」が…つまり、
錆びついたリボルバーが出てきた…ということなんですね?

「ええ」ペータースは短く返事した。
冴は、続けて質問した。
「あのリボルバーがゴッホにまつわる貴重なものだと教わった
そうですが、なぜ貴重なのか、
その理由を教えてもらいましたか?」
「いいえ」
サラが言うには、リボルバーにまつわる
「史実を変えてしまうような、信じがたい真実」を聞かされたそうです。
その「真実」は、母から娘へと口伝せよと、‥‥
『X』の母にあたるゴーギャンの妻が、もともとそう決めて、
三代にわたって伝えられたということです。
冴は、ゴーギャンのクロニカルを…頭の中で~
「あり得ない」 きっぱりと否定した。
続いて~妻のメットは、離婚はしない、復縁についても無視。
夫(ゴーギャン)が最後に孤独のうちに死んでしまってからも知らんぷり
だったそうです。 それが、私たち研究者の知っている「史実」です。
そのメットが『決して口外してはならない・誰も知らない歴史上の真実』
を、娘に口伝するなんてあり得ない…』
*ゴーギャンとメットの子供は5人、娘は一人だけ。
長女のメアリーは、
ゴーギャンがタヒチに滞在している間に、肺炎で死んでしまった。
・・・噓を言っている。 サラか、『X』か、あるいはペータースか。
「サラの聞き間違い?」 それともあなたの? とペータースに。
ペータース「そうかもしれません。私の聞き間違いかも~」
冴が、言う。
「私が、知りたい、もう一つ別なこと、
マダム・サラが、あなたに『ゴーギャンのリボルバー』の存在について
打ち明けたのは、いったいなぜですか?」
「・・・・・」
それから、はっきりした声で答えた。
「サラは、私のインスティチュートを助けたい。
そう言ってくれました」
サラは、
「このリボルバーは、ファン・ゴッホにまつわる貴重なリボルバーなの。
オークションにかけて、史上最高の落札価格で売却したいと考えているのよ。
そのお金で、私は、あなたの夢を実現させたい。
リボルバーを売却して得た金で、ゴッホがオーヴェールで描いた絵を買い戻す。
そしてそれを、ゴッホ終焉の部屋に飾る。
たった1枚でもいい、いまではアクリル板でおおわれ、ゴッホが死の直前に
描いたタブローが還って来るのを待ちわびている壁に。
それこそが、サラ自身の夢・・・だったのだ。