今回は東京で前の会社の「OB会」が開催。
コロナ禍で中止しており4年ぶりなので勇躍参加し、その足で待望の
「美術館巡り」も併せてとの実施でした。
総会は、午後16:00集合なので、午前中めいっぱい「マチス展」を堪能し
夜は、4年ぶりの皆さんとの懇親で大いに盛り上がりました。
なんと元気な先輩は、御年91歳!
まだまだ私は青二才? 今年で81歳になりましたが…。
さて、今日はフランスの香りから一挙に「日本」を味わいに。
そう、日本画家の巨匠 「東山魁夷」に合うべく旅立ちです。
OB会の翌日、早朝にホテルを出発~東京駅へ急ぐ。
初めての北陸新幹線
長野までの短い時間です。
長野駅は昔、旅行会社の添乗員(20歳前後の時)として
何度も訪れてていますが、今回 そう、ざっと60年ぶり?
善光寺にはまさに「牛に引かれて…」のような感じですが
お参りは割愛です。
長野駅 立派な駅ですね。
先ずは腹ごしらえ…駅前の「そば処」でスルスルと流し込む。
信州そばの味? まぁ、普通だね。
早速、駅前バスターミナルから美術館へ。
バス停からすぐの、公園の中を歩いて~白亜の長野県立美術館が目の前に
涼しげな噴水が上がり、お迎え、歓迎? の気分です。
入場券を買い、真っ先に 「東山魁夷記念館」へ。
朝の館内は静寂そのもの~人の気配を感じません。
早い入場なので、僅かに数人だけでした。
鑑賞の前に、館内は? どんな雰囲気かなと。
とても素敵な眺めを手に入れました・・・。
まるで魁夷が絵筆を取っているような 趣の 洒落た眺め。
周囲の松と水を張った水面に映る 緑の風景は 一幅の絵のようです。
なんかこれだけで、今日1日 満足できそう~。
ほんとうに 静かです。
足音すら聞こえません、昨日の「マチス展」の混雑とは異次元の環境です。
本来はこのような条件で、名品の鑑賞をする。
「早起きは三文の得(徳)かも?」
以前にも数回、東山魁夷展には出かけていますが
特に「唐招提寺障壁画」は凄かった。
*この企画展は、ブログ(2016.7.22)
画面美術館=東山魁夷展(於:九州国立博物館)
をご覧いただきたい~かなりのスケールです。
今回の企画にも、その障壁画の「下絵」が多く出品されているのも見どころ
さらに、地元出身でもない魁夷記念館が、何故? ここに。
信濃の風景に深く感銘を受け多くの作品を描きました。
そして愛してやまないこの信州への恩返しに、彼は、自分の作品群を
この地に寄贈されたとのこと…。
今回の企画は、コレクション展 第1期 ~6月20日まで。
第2期 ~
どうしても20日までには帰らないといけない予定があり、
渋々、第2期を諦めざるを得なかった。 残念!
さて、いよいよ作品とのご対面です。
「京洛四季」から
「魚鐸」
館内に入って まず最初の作品だ。
えっ 何これ? 部屋の照明が少し暗いので…うむ ?
「魚鐸」とあるので・・・ああ。
そういえば、以前、黄檗宗の大本山萬福寺に普茶料理を食べに行った折「魚鐸を見た」
東山は、伏見の「海宝寺」の魚鐸をモデルに描いた。
魚の形をした鳴り物 木魚の原型とされ叩く音で、法要や食事の時間を知らせる。
「曙」 (アケボノ)
東山そのもの・・・もう、どっぷりと浸って来た…館内の静けさも併せて。
東山ブルー … どうしてこんな「色」がでるのでしょうか?
岩絵の具の調合 きっと企業秘密だろうね???
「行く春」
「春静」(ハルシズカ)
「東福寺庭」(トウフクジニワ)
「苔」と「石畳」 こんなシンプルな題材
画家の目線はやっぱり違う。
「花明り」(ハナアカリ)
春の世の 朧月夜 もう、うっとりです。
「唐招提寺御影堂障壁画 準備作」
今回の展示品は、もちろん撮影禁止なので 紹介できるのは数少ない。
また、展示品は準備作品 紙本・墨画 紙本・彩色
この「唐招提寺御影堂障壁画」については、
私のブログ、「2016.7.22」
画面美術館 東山魁夷 (於:九州国立博物館)をご覧いただきたい。
「緑響く」(ミドリヒビク)
「白い馬の見える風景」より
「桂林月夜」(ケリンゲツヤ)
「黄山雨過」 (コウザンウカ)
中国黄山 紙本・彩色 第10回日展出品
習作 少し並べていきます。
「山雲」(サンウン) 山スケッチ 紙本・彩色
「瀧の音」(タキノオト) 山スケッチ 紙本・彩色
「霧深き谷」(キリフカキタニ) 山スケッチ 紙本・彩色
「朝雲」(チョウウン) 山スケッチ 紙本・彩色
「深山の樹」(シンザンノキ) 山スケッチ 紙本・彩色
「濤声」(トウセイ)
「蕪湖の古塔」(ブコノトウ) 準備作 「黄山白雲」スケッチ
「黄山雨中」(コウザンウシュウ)
東山魁夷 絶筆となった 「夕星」
⇓ 加筆した「星」
この 絶筆「夕星」には 物語が…
魁夷は、この「夕星」の習作として、平成7年に「夕かげ」を描きました。
最後にたどり着いて仕上げた作品は「夕星」というタイトルに。
そうです、筆は画面、真ん中に輝く星を加えたのです。
星が加えられた意味は? ・・・
《川端康成と深い交友のあった魁夷が、彼の死を知ったのは天草下田温泉の宿から
星の光を見て・・・妙に気にかけて床についた夜でした。
川端が自殺した。 1972年4月16日。》
川端の死を知らされた、あの 天草の地で見た星。
そのもの。
彼は最後の作品に川端康成を永遠の星の光として描き加えた。
そして、 彼も 静かにこの世を去りました。
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東山の作品は何回繰り返し見ても私は飽きない。
それどころか、見るたびに、その深さを味わい、
これからの老いの人生を 楽しくあるために
東山魁夷を追いかけて行きたいと思うのです。
美術館を出て 爽やかな風が 余韻を残してくれ
満足感に浸り~信濃路を後にしました。
明日は、東京。
「アーティゾン美術館」から、
ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開
またね!