故郷の田舎生活も5年目に入り、すっかり街へ向かう機会が少なくなっていた。
そんな矢先にビッグイベントが。
なんと「ボストン美術館」がやってきた。
それも世界一の浮世絵コレクションをひっさげて・・・
今から20年前に仕事の関係でボストンに行き、2日間毎日精力的に
ボストン美術館の絵画を楽しんだ記憶が蘇ってきました。
それも、今回は「浮世絵」に限っての厳選作品ばかり。
春信、歌麿、写楽、北斎、広重・・・・代表的な絵師ばかり。
こんな機会はもう2度とない・・・
この暑いさなか、勇んで行って来ました。
「もう凄い」の一言でした。 圧倒されました。 言葉もありません。 そんな感動です。
作品の保存状態は最高です。 ほんとにこれ当時のものなの?
と一瞬疑いたくなるような・・・いま、刷り上ったばかりのような
鮮烈な色彩・・・細やかな筆の描線は、もう表現できないくらいの切れ味です。
美人画は色気を感じました。
すぐ傍で、声を掛けてくるのではないかと・・・所作も動いているような・・・
着物の模様も、繊細なこと・・・ここまで細やかな技術を駆使してるとは
企画展なのに、人を見なくて、絵が鑑賞できた。 これが実感でした。
普段の日の午後でした。 静かな館内は人の気配もあまりせず、
ほのぐらい館内のしつらえは、一人一人がゆっくりと、作品にひたれる心配りも。
しかし考えてみれば、どうしてこんなにも素晴らしい作品が、海外に流失したのか?
当時日本に滞在していたシルベスターモース、フランシスコ・フェノロサ、ウイリアム・スタージス・ビゲロなどの
収集家は教鞭をとりながら精力的に収集をして本国へ帰った。
特に、ビゲローは4万点もの作品を。
まぁ、こうして一箇所に集められ、分析され、確かな形で保存され、それを世界の美術愛好家が
鑑賞できるというのは、考えようによっては、一番良かったのかも知れませんね。
もし、日本であれば、心無い収集家・愛蔵家により日の目をみない。
十分に考えられる。 これでよかった?・・・・
浮世絵は総合芸術であった。
「絵師」「堀師」「摺師」の際立ったテクニックの集大成です。
特に今回、鈴木春信が先導した色彩豊かな錦絵の描写には
ただただ感動するばかりでした。
また、門外不出とされたスポルディング・コレクションから
「版木」にはこれまた、大きな感動でした。
ちょうどこの時期のためか、館内鑑賞時間も普段の17:00から19:30までと
時間延長がされており、こんなにゆったりと企画展を過ごしたのは初めてでした。
「福岡市美術館」で8月31日まで開催
近郊にお住まいの方。
美術に感心のない方でも、是非是非、この夏のひとときをお過ごしになっては如何でしょうか。
「いいもの」との出会いは、きっと貴方の生活を豊かな気分にしてくれます。
時間を捻出してでも一見の価値は十二分にある・・・・いや、見逃してならないと思いますよ。
久しぶりの充実感に、この数日間は酔っている・・・・・