徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「アジョシ」―悍ましい深い闇に踏み込む孤独な魂たち―

2011-10-01 17:00:00 | 映画


     10月になった。
     これからは、日に日に秋が深まっていくことだろう。     

     これは、実に激しいアクション映画だ。
     でも、情感も豊かだ。
     すべてが、強烈なタッチで描写される。

     少女は助けを求め、男は命を懸けると決めた。
      イ・ジョンボム監督韓国映画である。
     とにかく、凄まじい作品だ。
     悲しみを抱いて生きている男と、隣に住む孤独な少女の物語が核をなしている。







                 

                           
テシク(ウォンビン)は、都会の片隅で質屋を営み、世間を避けるように生きていた。
家族も恋人もなかった。
過去のある事件が、彼から夢と希望を奪ったのだ。
質屋の客以外で訪ねてくるのは、隣の部屋に住む少女ソミ(キム・セロン)だ。
ソミもまた、いつも一人ぼっちだった。
クラブダンサーの母は、娘の世話よりも自分の暮らしに追われていた。
ソミは、テシクを‘おじさん’と呼び、たった一人の友達として慕っていた。

ある日、ソミの母親が麻薬密売組織に巻き込まれ、ソミは犯罪組織に誘拐される。
そんなソミを救出するために、テシクは組織を追ううちに、その背後に隠された恐るべき秘密を知る。
彼は、かつて交通事故で愛する妻を亡くしていた。
テシクは、愛するものを二度はうしないたくないと、少女ソミを守り抜くことを決意するのだが、非常な闇組織との壮絶な対決が彼を待っていたのだった・・・。

韓国映画「アジョシ」は、冒頭から、観る者を圧倒する迫力のアクションシーンの連続だ。
いやぁ、これの凄いのなんのって・・・!
息をのむような、リアルな戦闘シーンにはたじたじとなる。
「母なる証明」で、無垢な青年を演じ高い評価を得た、ウォンビンのこの作品での激闘には目を見張るものがある。
その彼が、ここでは心に深い傷を負い、愛と幸福に背を向けて生きる青年を演じている。
ただひとり心を通わせられるのは、少女ソミだけだ。

少女ソミを演じる天才少女は、あの韓国・フランス合作映画「冬の小鳥」で主役を演じた、キム・セロンだ。
彼女が、この作品では、愛を求める孤独な少女を健気に演じて、涙をを誘っている。
人は、愛する者との絆を求めている。
その絆さえあれば、生きてゆくことができる。
困難を走りぬく勇気をもたらす、衝撃的な作品だ。
ウォンビンキム・セロンの、二人の共演が話題を呼んでいて、この作品の見どころだ。
二人がとてもいい。
韓国では、2010年観客動員NO.1の大ヒットとなった。