徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「プロヴァンスの贈り物」ー極上のワインと恋ー

2008-02-24 09:00:00 | 映画

アメリカ映画、リドリ-・スコット監督作品「プロヴァンスの贈り物」を見る。
南フランス、一般的には、ロ-マ時代の遺跡の残るアヴィニヨンとかアルル地方なども指して言うようだが、その陽光が豊かにふりそそぐプロヴァンス・・・。
思いがけない休暇から、とびきりの恋が生まれるというラブスト-り-である。
豊饒な土地からは、極上のワインが生まれるように、味わい深い小さなロマンも・・・。

イギリスのロンドンで多忙な日々を送るマックス(ラッセル・クロウ)は、亡くなった叔父ヘンリ-(アルバ-ト・フィニ-)の遺産を相続するためにプラヴァンスを訪れる。
ヘンリ-叔父さんの愛した“シャトウ”と葡萄園、ここで少年時代のマックスは、毎年ヴァカンスを過ごしていたのだった。
相続の手続きをすませて、とんぼ帰りするつもりでいたマックスは、この地でハプニングに見舞われる。
公証人役場へ急ぐ途中で、レンタカ-を運転していたマックスは、自転車に乗ったある女性を轢きそうになったが、そのことに気づかず立ち去ってしまう。
あとになって、その女性ファニ-(マリオン・コティヤ-ル)が、地元のレストランをきりもりするオ-ナ-であることが分かる。
ファニ-は、マックスが自分を轢きそうになった相手であることを覚えていた。
マックスとファニ-「事故」を通して知り合い、あれこれ言い合っているうちに、やがてお互いに心を通い合わせるようになっていく。

二人には、人生に対する価値観の違いがあったが、マックスは物怖じしないファニ-の姿にひかれ、彼女のレストランの手伝いまでして、デ-トの約束をとりつける。
約束の日、マックスは地下蔵のワインセラ-で、<コワン・ペルデュ>という伝説のワインを手土産に、ファニ-の待つ広場へ向かう。
野外レストランで、美味三昧のプロヴァンス料理に舌つづみを打ち、大人の会話に酔いしれる二人だった。
洒落た会話とジョ-クを重ねるうちに、甘美な時間が訪れて・・・。

マックスが、ロンドンに帰る日がやって来る。
・・・しかし、彼はファニ-への自分の愛に気づき、叔父ヘンリ-の想い出をたぐりよせていくうちに、プロヴァンスがもたらした幾つもの贈り物が、マックスの心を大きく変えようとしていた・・・。

明るく、コミカルなシ-ンをふんだんに取り入れて、南仏・プロヴァンスの風光が彩りを添えて、極上のワインがよく似合う、甘美な物語に仕上げられている。
物語に出てくる<コワン・ペルデュ>というワインも心にくい。
これは、「失われた片隅」と言う意味のフランス語で、二十世紀フランス文学の最高峰マルセル・プル-ストの「失われた時を求めて」に由来する極上のワインで、生産量の少ない、希少な逸品だそうである。

原作は、リドリ-・スコット監督と三十年来の友人であるピ-タ-・メイルの「南仏プロヴァンスの12か月」で、1990年に世界的なベストセラ-になったそうだ。
明るい笑いに満ち、諧謔のうちに人生の充足を求めようとする、原作者の姿を垣間見ることが出来る。
ピ-タ-・メイルは、妻と子供と犬を連れてプロヴァンスに移住し、この土地と環境に深く魅了され、数々の作品を書き上げた。
この映画「プロヴァンスの贈り物」 http://jp.franceguide.com/home.html?NodeID=1129 )に登場する村々は、どれも絵葉書のように美しい。
南フランスの美しい自然を背景に、ゆったりとした時が流れてゆく・・・。

「人は楽しむために生まれてきた。そして、未来は今日からでも変えられる」
そんな、ポジティブなメッセ-ジを、オスカ-俳優ラッセル・クロウが体現する。
ちょっぴり気の利いたつくりだ。
それに、ハリウッド資本にフランスの小粋さがほどよくミックスされている。
まあ、どうやら極上のワインが取り結ぶ、大人の恋と言うところですか。

* 追 記 *
この映画に出ていた、マリアン・コティヤ-ルが、「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」(主演)で、このほどアカデミ-賞主演女優賞を受賞しました。ああやっぱり、と思いました。(2月25日)


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2 コメント

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確かに・・・ (Julien)
2008-02-25 15:20:32
これまでの、SF映画、古代ロ-マのスペクタクル、壮絶な内戦映画のような、雄雄しい、男性的な作風とは違いますね。

リドリ-・スコットは、プロヴァンスに自分の別荘とワイナリ-を所有しているそうで、おまけに原作者ピ-タ-・メイルもこの地に住んでいて、二人が30年来の友人同士とくれば、下地は揃っていたんですね。

イギリス生まれのハリウッドの「才能」が、フランスという異国の地に、一種の敬慕と憧憬を持っていたことは容易に理解できます。
彼は、プロヴァンスに魅了されていたんです。
愛してやまなかったプロヴァンスを、美しい形でスクリ-ンに残したいという思いはなかったでしょうか。

それから、マリオン・コティヤールという女優さんですが、シリアスな演技は勿論、コメディ・センスもなかなかで、上手いし、素晴らしい。
この作品の直後、2007年「エディット・ピアフ」で、大役のヒロインを堂々と演じていましたね。

また、「プロヴァンスの贈り物」の撮影監督フィリップ・ル・ス-ルという人も、美しい自然の風景や非日常の世界観を、色彩鮮やかに映像化することでは定評のある人らしいです。

リドリ-・スコットの、一味違ったこの作品は、フランス・プロヴァンスへの彼のオマ-ジュかも知れません。
そんな気がします。
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リドリー・スコットと言うと (茶柱)
2008-02-24 21:12:23
私などはつい、ALIEN, BLADE RUNNER や、BLACK RAIN, BLACK HAWK Downなどが出てきてしまい、この作品とはずいぶん雰囲気が違うので「あれぇ?」って思ってしまいました。でも、Gladiaterなんかでは結構こう言う明るい雰囲気もあったりしましたね。

弟のトム・スコットが撮った、The TOPGUNも好きな映画です。
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