ママに女の子のように育てられたボクの、ちょっぴり痛快なサクセスストーリーだ。
フランスが誇る、国立劇団コメディ・フランセーズの演技派俳優ギヨーム・ガリエンヌが、この自伝的作品で監督デビューを果たした。
ギヨームはこの作品の中で、“ボク”はもちろん“ママ”まで演じてしまった。
彼の実体験から生まれたこの映画は、フランスで300万人の観客を動員したといわれる。
“ボク”には次々と苦難が降りかかるのだが、それらを笑いに変え、“本当の自分”を見出すという、つまり自己探求の物語なのだ。
セクシャリティを交えた女性賛歌でもある。
ギヨームは最初は自分を女の子だと思い、次にゲイではないか と考え、最後に異性として女性を愛するようになる。
フランスでは同性婚が認められているが、この映画は、今の時代に逆行しているような異性愛に目覚めるというお話だ。
3人兄弟の末っ子で、ママに女の子のように育てられたギヨーム(ギヨーム・ガリエンヌ)は、ゴージャスでエレガントなママ(ギヨーム・ガリエンヌ二役)に憧れ、スタイルから話し方まですべてママを真似していた。
兄妹や親戚から100%ゲイだと思われていたが、何とか息子を男らしく方向転換させたいパパ(アンドレ・マルコン)に、無理やり男子校の寄宿舎に入れられてしまう。
そこでいじめにあったギヨームは、イギリスの学校に転校、親切にしてくれた男子生徒への初恋に敗れ、人生最初の絶望を味わうのだ。
自分のセクシャリティを見極めようとトライしたナンパも、とんでもない結末に・・・。
どうしてもうまくいかない人生に疑問を感じ始めたギヨームは、“本当の自分”を探す旅に出るのだが・・・。
主人公ギヨームは、優雅でクールな母親をお手本に育ち、仕草や話し方も彼女にそっくりだ。
男らしさにこだわる父や兄からは白い目で見られるが、本人は一向に意に介さない。
ところが、次第にそのままではいられなくなる。
様々な状況に直面し、そのたびに自分のセクシャリティを考えざるを得ない。
男子の輪にも入れないが、女子の輪にも入りにくい。
女らしや男らしさとは、一体何だろうか。
この作品には、そんな現代的な問いかけがある。
「性とは」一体何だろうかと、問いかける。
ギヨーム・ガリエンヌが主演(二役)、監督、脚本をこなすこの喜劇「不機嫌なママにメルシィ!」は、テンポの速い展開で、ギヨームの喜怒哀楽が要領よく描かれている。
しかも、ママ役まで見事にこなすとは、ギヨームもなかなかである。
“彼女”の脚元を見ると、本当の女性みたいに見えるのだ(?!)。
他にも、個性豊かな演技陣が登場していて、シリアスなハッピーエンドに至るという、ちょっとした泣き笑いのコメディだ。
作品自体、いかにもギヨーム・ガリエンヌらしい演劇的なフランス映画だ。
[JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点)