徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「命ある限り」―運命に翻弄される激しい愛の炎―

2013-06-08 22:15:31 | 映画



突然始まる歌と踊り満載の映画、それがインド映画だ。
インドの映画界のことは、ハリウッドをもじって“ボリウッド”と称される。
今や、ボリウッドは時にハリウッドを超えて、映画大国の名をほしいままにしている。
インド映画が、いま世界を、日本を密かに席捲中だ。
かつての日本の、高度経済成長時代を超える勢いで、インドは国とともに映画ビジネスが大成長を遂げている。

2050年には、世界のGDP第3位になるだろうとさえ予測されている。
何と、スピルバーグ率いる映画製作会社に、インド企業が1000億円以上も出資しているといわれる。
傑作ぞろいといわれる「ボリウッド4 ザッツ・エンターテインドメントの4作品は、いたるところで人々を熱狂させている。
そのエネルギッシュなパワー、バイタリティは半端なものではない。
巨匠ヤシュ・チョプラ監督の遺作「命ある限り」もその1作品だ。
この作品、メロドラマの王道を行くような、大河ラブロマンスである。


       
2002年ロンドン・・・。
ストリートミュージシャンとして街頭で歌っていたサマル(シャー・ルク・カーン)は、裕福な実業家の娘ミラ(カトリーナ・カイフ)と雪の教会で運命的な出逢いをした。
信心深いミラには、父親の決めた婚約者がいたが、自分とは全く違う世界に住むサマルに、惹かれていく。
やがて、想いを確かめ合う二人だが、ある日、サマルが交通事故で意識不明の重体に・・・。
ミラは、愛する者の命を救うため、神にある誓いを立てる。
そして十年の歳月が流れ・・・、ついに二人は再開する。
しかしそれは、新たなる苦難と試練の序曲であった・・・。

イギリスのロンドン、インドとパキスタンの紛争地帯カシミールや秘境ラダックを舞台に、現在と過去を行き来しながら、お互いの胸の奥に秘められた悲恋を解き明かす脚本には、ドラマ特有の切ない要素が満載だ。
二人の運命は複雑に絡み合って、思いがけない怒涛の展開をたどることになる。
美しい3人の男女が、激しい愛の炎に身を灼き尽くす、インド発の王道メロドラマだ。

インド人は、かくもおおらかで明るく、賑やか好きだが、誰もが歌い、踊り、飛び跳ね、お祭り騒ぎのようだ。
とにかく、そのエキサイティングなはしゃぎっぷりは、大変なものだ。
これが、インド映画のお家芸というものか。

インド映画「命ある限り」は、娯楽映画としてみれば、面白いこと間違いなし、爽快そのものだ。
馬鹿馬鹿しいほどの筋立て、展開はともかくとして、愛のためには、人生をも投げ打つという純粋な愛の讃歌に注目だ。
ここはもう、大いに娯楽性を堪能するに限る。
映画とはそういうものだ。
ヤシュ・チョプラ監督は、2012年10月、この作品の公開間近かに亡くなった。
     [JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点

今回のボリウッド4作品のうちの、あとの3作品は、他に「闇の帝王 DON ベルリン強奪作戦」「タイガー 伝説のスパイ」「きっと、うまくいく」があるが、どれも面白さは折り紙つきだ。
「タイガー 伝説のスパイ」は、世界6カ国をインドの「007」が暴れまわる、これも面白さ絶対保証付きのアクション・ロマンス大作だし、しかもお互いに敵国のスパイが愛し合ってしまったから大変だ。
人生をかけた孤高のミッションだけに目が離せない。
「闇の帝王 DON」はベルリンを舞台に繰り広げられる、インド版「ルパン三世」で、ヤバい奴らの超ハイパワーアクションものだし、「きっと、うまくいく」は人生が光り輝くヒントをいっぱいに詰め込んだ、愛と友情の人生感動エンターテインメントで、すでに1カ月以上のロングランを続けている。

どの作品も、美しすぎる(?)ほどの美男美女を配していて、見逃せない。
おそらく全作品を観たら、どんなにか壮快な気分になれることだろう。
ここまで熱く洗練されたインド映画を見せられると、ハリウッドだって安閑としてはいられまい。
「ボリウッド4ザッツエンターテインドメント」は、横浜のミニシアターで6月14日(金)まで上映中。
これからは、インド映画から目が離せない。