徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「一枚のめぐり逢い」―一枚の写真から始まった運命の恋の物語―

2012-06-24 20:00:00 | 映画


 『きみに読む物語』の原作者ニコラス・スパークスの、ベストセラー小説を映画化した。
 アカデミー賞作品「シャイン」スコット・ヒックス監督が、新鮮な演出で綴るラブストーリーだ。

 一枚の写真に導かれた、運命の出逢いがあった。
 だが、二人の愛は引き裂かれようとしていた。
 その理由もまた、同じ一枚の写真によって・・・。

 スコット・ヒックス監督は、全米で300万部の売り上げを記録した、ミリオンセラー小説の原作の心に残る台詞を活かしつつ、男女の恋愛心理をロマンティックに描いている。
 現実にありえないようなドラマが、何故か心に沁みるようである。




            
ローガン・ティーボウ(ザック・エフロン)は、異国の戦場で、一枚の写真を拾った。

それは、美しいひとりの女性が微笑みかける写真だった。
その写真を手にしてから、彼は何度も命の危機をくぐり抜けた。
それはあたかも、守護天使が現れたかのようだった。

帰国したローガンは、写真の背景に写っている灯台だけを頼りに、その女性を探し出そうと決意する。
そして、その一枚の写真に導かれ、写真の女性ベス・グリーン(テイラー・シリング)との奇跡的な出逢いを果たした。
ベスは、ルイジアナの郊外で犬舎を経営しているのだった。
彼女はローガンを、はじめ自分の犬舎のスタッフに応募してきたと勘違いし、歓迎ムードだった。
だが、ローガンが海兵隊員だと知ったとたん、急に態度が冷たくなる。
ベスの祖母エリー(ブライス・ダナー)の計らいもあって、ローガンは本当のことを言うことができないまま、そこで働くことになる。

まもなくローガンは、ベスの複雑な事情を知ることになる。
べスは、7歳に息子ベン(ライリー・トーマス・スチュワート)を連れて離婚したが、元夫のキース・クレイトン(ジェイ・R・ファーガソン)はやり直したいと願っていた。
そんな中で、ローガンとベスは恋に落ち、いくつもの障害を乗り越えて結ばれる。
しかし、幸せの頂点で、彼らを引き合わせたはずのあの写真によって、皮肉にも二人の愛は引き裂かれようとしていた・・・。

ベスは、ローガンの誠実と優しさに引かれたのだったが、この街に来た理由をローガンに訪ねても、不可解な想いがどうしても脳裏から離れないのだった。
ザック・エフロンは、一途な純愛を貫いて、一見不器用な男を静かに演じている。
テイラー・シリングは、大学で演技の学位を取得して、さらに大学院でも演技の勉強を続けた努力家で、この作品は適役と思える。
主人公のローガンが、戦場で拾った一枚の写真を頼りにイラクの戦禍を生き延びたという設定は、少しありふれた感じで、そこからこのドラマが作られたというのは、やや甘すぎる印象を拭えないが・・・。
スクリーンに描かれる、ベスの家のキッチン、庭、畑や、二人が暮らす街の風景が美しい。
それらが、物語をあまやかな香りに包んでいるから、癒やされるのである。

運命を信ずるか信じないかは、その人間の自由だが、運命が本当に存在するものかどうか。
原作者スパークスが、この小説を思いついたきっかけは、現実に見たものだったといっている。
それは、砂に半分埋もれた写真を拾い上げる、兵士の姿だったそうで、拾い主が、その写真を自分の幸運のお守りとして見るようになったらどうなるだろうという、アイデアに取りつかれたと述懐している。
このドラマの中では、その写真は、幸運のお守り以上のものとなってしまった。
出来過ぎた話ではある。
大げさに言えば、愛と運命という二つのテーマを絡みあわせ、意外性と必然性の両方の感情を生み出すような方法で、それを展開させたのだ。

厳しい言い方をすれば、実際に起こりえないような、メロドラマティックなラブストーリーなのだ。
ラブストーリーとは、この作品のように大抵の場合フィクションだ。
フィクションだと知りつつ、読者も観客もそれに酔うことになるのだ。
もっとも、酔いたくても酔えない作品だって、数々あるのだけれど・・・。
どんなに嘘くさいと思っても、それが作品であり、映画なのである。
スコット・ヒックス監督の、アメリカ映画「一枚のめぐり逢い」のロマンティックもまた、その例外ではない。
     [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点