徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「新しい人生のはじめかた」―出逢いから紡がれる物語―

2011-03-06 10:00:00 | 映画

・・・人は、時とともに確実に老いていく。
過去を、振り返ってばかりいられない。
いつまでも、前向きに生きることから、新たな希望も見えてくる。
何気ない、ふとした出会いから始まるものもある。

中高年とて、捨てたものではない。
生きていれば、また新たな人生も始まる。
そのために、一歩踏み出す勇気も、ときには必要だ。
そんなことを感じさせる、中高年向きの旧作なのだが、このドラマ、さりげない味わいがあって、なかなか心地よいのだ。
ジョエル・ホプキンス監督イギリス映画だ。

 CM音楽家のハーヴェイ・シャイン(ダスティン・ホフマン)は、離婚後ニューヨークで、ひとり気ままに暮らしていた。
そんなある週末に、イギリスで働いている一人娘の結婚式で、ロンドンに行くことになった。
しかし、宿泊先のホテルは最悪、トラブルで仕事は干され、あげくに、娘は義理の父とバージンロードを歩くと言っている。
ハーヴェイは、絶望的な気持ちになり、ヒースロー空港のバーでヤケ酒をあおっていた。

一方、空港の統計局で働くケイト・ウォーカー(エマ・トンプソン)は、40代で婚期を逃していた。
周囲も、彼女によい相手を紹介しようとするのだが、うまくいかない。
彼女は、いつも楽しい場の雰囲気に馴染むことができず、孤立している。
家には、細かいことまで干渉好きな老いた母親を抱え、未来に期待することもなく、諦めて楽々マイペースで生きる道を選んだケイトだった。

ハーヴェイは、その空港のバーで、白いワイン片手にひっそりと読書をするケイトと知り合った。
それは、偶然の成り行きであった。
二人は、テムズ川河畔に遊歩道を連れ立って歩くうちに、夜明けまでロンドンの街で一緒に過ごすことになって・・・。

ウエストミンスター宮殿、セント・ポール大聖堂など伝統と近代が融合する、ロンドンの魅力的な風景の中で、リアルでちょっぴり心にしみる物語が生まれる。
どれだけ年を重ねても、完璧な人間なんていない。
そして、幸せへの扉を開くのは、いつだって自分自身だ。
ドラマの中で、互いに交わされる会話が、自然で楽しくセンスにあふれている。
ハリウッドの名優とイギリスの演技派女優(ともにアカデミー賞俳優)が、繊細で味のある雰囲気をかもし出している。
どうせなら、もっとときめきのロマンティックがほしかった。

イギリス映画「新しい人生のはじめ方」は、もう若くはない大人たちに、一歩も二歩も踏み出す勇気と希望を与えてくれそうだ。
ロンドンで出逢った、寂しい余生を代償に自由を手に入れた男と、人生をあきらめることに慣れてしまった女・・・。
二人の、心理描写に注目だ。
中高年だって、これからだ。
ちょっぴりコミカルで、どこかしみじみとした味わいが、ほどよくミックスされたドラマ構成もまずまずだし、まとまってはいる。
とにかく、人生をいつでも前向きに生きること、そんな想いを感じさせる作品だ。
人生を、前向きに・・・。
そうすれば、、何かが開けてくる。