徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「紀元前一万年」ー見たことのない世界ー

2008-04-27 14:00:00 | 映画

誰も見たことのない世界は、「過去」にあった。
この映画は、「インデペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」など、ハリウッド超大作のヒットメーカー、ローランド・エメリッヒ監督の太古スペクタクルである。

エメリッヒ監督は、今度は「未来」ではなく「過去」に照準を向けて、新たな未体験ゾーンをど派手に描いて見せた。

紀元前一万年・・・。
地球時間をさかのぼるスケールの大きさだ。
マンモスの毛筋一本までよみがえらせる最新のCG技術、巨大なピラミッドを復元した、映画史上最大規模となるセットが組まれた。
構想十五年、圧倒的なスケールと最先端の映画技術、そのすべてが、遥かなる「過去」へと注がれる。
そして、そこにとてつもない世界が出現するのだ。

こういうのを、体験型アクション、アドベンチャーとでも言うのだろうか。
まあ、息を呑む冒険とアクションのストーリーである。
見る者を、壮大な過去への旅が待ち受ける・・・。

それは遥か遠い昔、予言の神々の時代であった。
精霊が地を支配し、巨大なマンモスが大地を揺るがしていた。
山奥に住む若いハンター、デレー(スティーブン・ストレイト)は、美しい娘エバレット(カミーラ・ベル)と、子供の頃から惹かれあい、将来を誓っていた。
だが或る時、正体不明の男たちが、彼らの村を襲い、エバレットたちをさらっていった。
デレーは、彼女を救うため、ティクティク(クリフ・カーティス)ら少数の仲間を率いて、最果ての地まで、謎の男たちを追っていく。
その途中で、デレーたちは、“牙”と呼ばれるサーベルタイガー(大虎)に遭遇し、
獰猛な野獣と闘い、様々な民族がいることを知る。
そして、その危険に満ちた旅の最後に彼らを待っていたのは、天まで届くような壮大なピラミッドの並ぶ、想像を絶するような文明の地であった。
そこでは、絶大な力を持つ“神”が、さらってきた人々を奴隷として酷使していた。
デレーは、とらわれのエバレットを救うことが出来るのだろうか。
そして、奴隷たちを解放し、真に男の勇者となりえるのだろうか。

・・・村が襲われ、連れ去られた仲間たちを、当時の文明国家から奪還するために冒険に旅立つ青年と言えば、メル・ギブソン監督の「アポカリプト」に似ているが、当時の現地語とリアリズムにこだわったギブソンと違って、エメリッヒ監督はあくまでもハリウッド流だ。
太古の物語のはずなのに、しっかり英語で、妙に小ぎれいだ。
終盤は、なるほどと思うようなご都合主義だけれど・・・。

マンモス狩りのシーンや、サーベルタイガーとの対決といった、血の騒ぐシーンもふんだんにある。
総じて、何だか無邪気な(?)作品ではある。

この作品が傑出しているとすれば、荒涼とした原始の大陸を旅する民族大移動や、画面を埋め尽くす大群衆と、マンモスによるピラミッド作り、さらにはクライマックスの奴隷たちの反乱など、スペクタクルシーンの圧倒的な迫力であり、それはまた、原始時代といえども、巨大な権力によって、個人の意志や生活が押しつぶされてしまう悲劇、その時代を超えた人類の宿命を物語るものだ・・・。

この作品、アフリカとニュージランドのロケが見ものだ。
それに、エンディングに流れる勇壮な音楽(ハラルド・クローサー、トマス・ワンダー)が何とも心地よい。
映画音楽のいいところだ。
聴いているだけで、その場を離れたくない。
アメリカ映画「紀元前一万年」 http://wwws.warnerbros.co.jp/10000bc/ の、未知なる世界を覗いて見るのは、いい気晴らしになるかも知れない。
頭の中で、あれこれ妙に考えることもなく、たまにはこんな映画もいいか。