湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

たかが自転車だからこそ

2006年08月04日 | 日常生活
久し振りにとある作家の自転車旅行記を読んだ。

おそらくこの著者は自転車での旅に極力社会的な意義を持たせたいと考えているのだろう。だから見た風景、起きた出来事を心で受けとめるより先に、人類学や社会学や経済学などを持ち出してきて考察したりする(しているように感じる)。

この著者も含めて、いわゆるアウトドア作家と呼ばれる人たちの本を多読していた時期がある。そして彼らとともに、自然破壊や失われていく文化について嘆いたりしていたことがある。

けれどもある時期からだんだんとそうしたことがつまらなくなってきた。違和感を感じるようになってきた。無用な公共事業による自然破壊や経済至上主義によって失われていく文化について考えることも大切なことだとは思うけれども、せっかく自転車に乗ったり、カヌーを漕いだりしているのに、そんなことばかりが書かれている本なんて読みたくなくなってきた。

こういった本を読むよりも、そういった立派なこととは無縁に、個人的に自由な気持ちで自転車を楽しんでいる方のブログを読んだり話を聞いたりするほうが余程楽しいと最近つくづく思う。そして結局のところ僕が自転車に求めているのもそういうことなのだと思う。自転車をそんなに立派なものに祭り上げなくたっていい。なんとなくそこにある、身近にそこにある、たかが自転車だからこそ、いつまでも自転車が好きでいられるのだと思う。