山の記憶 (百名山・二百名山・三百名山)

山スキー、その他の山行もあります。

大山の沢を滑降する(その1 大沢・おおのさわ)

2009年03月03日 | 大山を滑る

 夏道より。今日はどこでも滑れそうだ
 


  冬が終わりを告げ、春の息吹を感じる頃、大山の沢は山スキーヤに最高のゲレンデを提供してくれる。
 車の中から、或いは駐車場から、或いはゲレンデのリフトから眺める雪を頂いた大山。その頂上付近から一本の滑降ラインを引いてみる。そして、そのラインを滑り下る。
 思っただけでも胸が高鳴る。スキーを担ぎ、あえぎながら頂上を目指す人たちの思いは誰も同じだ。
 幾分危険をともなう頂上からの滑降だが、ワンターンにかける心身の緊張と充実はゲレンデでは決して味わうことができないものだ。
 幸いなことに、山陰にはこんな素晴らしい滑りをt提供してくれる山、大山がある。標高こそ1711mと富士山や槍穂などに比べると低いのだが、約1000mの高度差を一気に滑り降りる素晴らしさは少しもひけをとらない。
 大山に雪が積もると、いつもそわそわする。もう滑れるのでは、もういいのではと気になって仕方がない。今期も、早々とスキーを担いで頂上を目指したのが1月20日だった。しかし、雪の状態がよくなく、頂上付近はカリカリ、中腹はモナカと楽しむにはほど遠い状態。残念だが今の自分の技量では無理。6合までスキーを担いで降り、ややモナカ気味の斜面を元谷へ滑り込む。
 

そして28日。久しぶりの快晴に誘われ頂上を目指す。



 頂上小屋は雪の城




大沢(おおのさわ・ゼロ沢上部を見る)
 

 
 堰堤は雪の下



この日の大山はどこからでも滑れそうな様子。どこからやろうかと考えながら頂上を目指す。八合沢もしっかり雪が付きおもしろそうだ。とにかく頂上まで登り様子を見ることにする。
 雪の多い時期は、普段は滑ることができない大沢(ゼロ沢)の滑降が可能となる。この沢は日当たりがいいから雪解けも早い。また下部の堰堤が顔を出すのも早いから滑るチャンスを逃すことが多い。
 間の沢などは最高だろう。間の沢とは、大沢と一の沢との間にある沢のこと。正式な呼び名はないのでこのように呼んでいる。米子道の大山IC辺りから見ると桝水の直ぐ後ろ近くにあるのが大沢で、その右側に長く流れている沢が間の沢。
 この沢を滑り降りると大山環状道路と小鳥の散歩道がぶつかる辺りに出る。

 この日は、大沢を滑ることにする。頂上付近で2,3度スキーの感触を確かめて沢に滑り込む。弥山頂上から一気に滑り込むことのできるのがこのコースのいいところだ。すぐに狭まってくる沢を、右手にトラバースすると一気に視界が開け、その景色に圧倒される。この感触はこのコースの醍醐味の一つだが、とにかく広大な雪の斜面の中にポッンと置き忘れられたような気分にさせられう。
 斜度もあるから、技術的な問題は無くても心が圧倒されて恐怖感におそわれる。
私の場合の山スキーは、この恐怖感との戦いでもあり、このときの感覚が逆に何とも言えない。
 桝水のゲレンデをちらりと見ながらターンを繰り返す。最初の堰堤までが一つの区切りとなる。予想通り堰堤のほとんどは雪に埋まっている。雪の少ないときにはぐるりと回り込まなければいけないがこの日は真ん中を滑る。
 多少ブッシュの出た沢を下ると小鳥の散歩道に出る。後はビンンディングをフリーにして大山寺まで滑り歩く。