年金受給者の日々へ 悪戦苦闘の記録から

自分のXデーに向かってまっすぐに走る日々
   年金受給前の悪戦苦闘の日々より

きょういくが重要

2015-05-12 20:57:34 | Weblog

 講演会に行く機会がある。それらの中の高齢者向けの講演の内容で講師がしゃべるネタとして老人はきょういくが大切なことですよ・・などと話しかけられる。聴衆を教育に振っておいて、続けざまに、今日行く用事があることが大事です・・と、何かすることの必要性に話を落としていく。同じ話を3人の講師から聞いたけれど、キョウイクのお話は講師の流行なんだろうか。

 台風6号の強い風がゴ~っと唸り声を出し横殴りの雨がガラス窓をたたいた午前3時、思わずびっくりして目が覚めた。枕元のラジオのスイッチを入れ深夜便を聞こうと思ったけれど、ラジオがうまく聞こえなかった。

 今日何かをすることがあるか、どこかに行かねばならない用事が今日はあるのか・・ということが日がな一日ぼんやりと何をするでもない無意味な日かどうかの分かれ道になるんだろうか。

 誰かが言っていた。「日陰がなく、日向だけの男は暴力である」と。病気を知らず、逆境に悩んだこともなく、挫折を味わったこともないような人。ただただ明るいだけの、人生の陰影に乏しいような男を、自分の近くに置いておくわけにはいかない。平面的なのっぺらぼうで、今日どこかに行く用事でもあると、喜び勇んで前日から準備をするような男の人は、ありがたくも自分の周りにはいない。
 
 今日の私の用事ごとは、塀の中で41歳の刑余者と相談をすることである。称呼番号×××番、氏名Dは身長173㎝、体重は70キロ、腕から胸にかけて文様が覗く。背には虎模様を入れているという。でも暴力団に入っていた跡はないことを警察の通報により知らされている。暴力団○○組の周辺で○○組を語り生業をしていたのかもしれない。本人に墨と一般社会での就労現場とは相容れないだろうことを問う。

 するとDは消極的な性格を引きづりながら表面を強く誇示しようとしてだけかのように映った。私には日陰に位置しながら日向に立っているように見えたが・・・。
 二人目の相談者にWが職員に連行され入室してきた。Wは近々仮釈放により出て行く予定である。面接をするにあたっての応募書類を書かせてやりたいと準備をした。
 職歴欄は特に丁寧に書いてもらうことにして時間をとった。職業におけるスキルを見たいからである。そして朱を入れることにする。そこでの質問を重ねる時間と合わせると予定の時間が過ぎた。
 私の予定調和の向かう所は、何もなく受け身で消極的で向こうからやって来る「しなければならないこと」を追っかけることではなく、自分の頭で想像した「やるべきこと」と「やったこと」の結果がキャリアとして残存する、残滓のようなものではないか・・と、その澱のごとき滓をWと私とで共有し確認したい場所である。