年金受給者の日々へ 悪戦苦闘の記録から

自分のXデーに向かってまっすぐに走る日々
   年金受給前の悪戦苦闘の日々より

First&Last

2012-02-20 00:00:00 | Weblog
 23歳当時の自分は、先行き不透不明の中でわずかなほのかな明かりを求めてうろうろしていたことを覚えている。何をしてよいかわからない、何をすれば生きていく糧を得ることができるのだろうか、そのためにはどのように動けばいいんだろうか、明かりはあるのだろうかなどと似合わないスーツにネクタイをつけて街中を歩き、家に入ってもスーツを着替えることなく一日中同じスタイルで過ごしていた。つまり、リラックスする時間が布団の中においてさえないという青年期を過ごしていた。
 そのとき本屋さんで、自分の心象風景が投影された写真集を見つけた。鰐淵晴子のファーストアンドラスト写真集である。モノクロの靄の中にいて、鰐淵晴子さんが衣装を纏わず、真っ裸で前を見つめるその目が自分の当時の姿に重なって感動した。この写真集は、タッド若松が撮ったものである。この作品で自分はなにかしらほのかな明かりがあったことを思い出したしだいである。もしかして自分も霞のかかる環境の中でも生きていくことができるかもしれないなどと。そのようなことを今までずっと忘れていたが、先日読んだ「あなたは誰?私はここにいる」のなかで姜尚中は、絵画を通して自分を話していたのを読むにつけ、私も青年期に同じような体験があったことを思い出した次第である。

「最も仄かな光にこそ、あらゆる希望は依拠しているのであり、最もゆたかな希望さえも、そのかすかな光からしか成りきたらない」ベンヤミン