YS Journal アメリカからの雑感

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テロリストの刑事裁判の結果

2010-11-19 07:09:35 | アメリカ政治
今週17日、1998年にケニアのアメリカ大使館爆発テロ実行犯の(1998 United States embassy bombings)裁判がニューヨーク連邦裁判所で刑事裁判として行われ判決が言い渡された。被告はアルカイダのメンバーで、2004年にパキスタンで CIA に捕獲されキューバの Guantanamo 収容所に留置されていた。

合計で280項目(死亡者224人、一人一人の殺人罪も含まれる)で起訴されていたが、有罪判決は政府所有の建物の破壊工作の一件だけであった。(量刑確定は来年の一月)

以前に、911 テロ首謀者の裁判 in NY$216 million(約195億円であったが、現在はドル安で約184億円)のエントリーで懸念した様に、テロリストを刑事裁判で裁く事の愚かしさが明らかになった。(そういえば、ニューヨーク市は911のテロ首謀者の裁判で掛かる費用($216 million)を連邦政府に請求する方針を決定しているが、来年から下院での与党となる共和党は既に予算を付けない事を申し合わせている)

弁護側は、容疑者はアルカイダに洗脳された意志のない使いっ走りである事、証拠物件の信憑性を盾に弁護を行っており、検察側は、容疑者を特定した証言が CIA 尋問 (Interrogation) で得られているという理由で重要証人を拒否されたりしている。(陪審員の1人は、他の陪審員から(有罪にする様に)脅しに近い事を言われたとコメントしている)

今回は、比較的低レベル(といっても224人も死んでいる)のテロリストの裁判であったが、911のテロ首謀者の裁判などは特に、軍事裁判にすべきという論議が盛り上がるのは間違いない。

テロリストを刑事裁判で裁くというのはオバマ政権のスタンドプレーであったが、キューバの Guantanamo 収容所を閉鎖する(大統領命令では今年一月であった)と併せて、全く現実味が無く愚かしいというのもバカバカしくなるくらいの大間抜けな判断であった。今後の展開としては、結局、収容所もそのまま、大物テロリストの裁判は軍事裁判でという事なるのだろう。

もし、そのような方向転換があれば、オバマ大統領と司法長官が、聞きたくもない意味不明の言い訳を山ほどするのであろう。(可能性としては、こっそり方向転換しようとするか、ひょっとすると後2年手を付けないという事もあり得る)