YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

政治は変わらないのか?

2010-11-16 08:42:58 | 政治の話題
アメリカの中間選挙の分析(アメリカ人のも、日本人のも)を読んでいると、評論家、そして一般の人々も、政治は変わらないという考え方が根底にずっしりとある。政権交代、政策の左右(リベラル、保守)への振れは、循環的で、行ったり来たりと思っている人が圧倒的である。

これらの考え方から導かれる答えは、結局、何も根本的には変わらないという絶望(人によっては希望であったりするのだが)しかない。

いくら歴史を学んでも、人々の判断は自分の経験をベースにしか出来ず、政治における歴史とは、往々にして語り手が経験してきた時代しか繁栄されていない。自分の経験を超えた現象は、歴史に照らし合わす事をせず、自分の経験の引き出しに答えを求めようとする傾向が強い。

アメリカ、世界のおかれている現状が、第二次世界大戦後の比較的平和な時代の流れの一点にしか過ぎないのか、大きな節目に来ているのかを先ず考える必要がある。9/11 は従来とは違う恐怖をアメリカのもたらしたが、政治の流れへのインパクトという意味では、変化がなかった。

問題は、現在も循環に一つのなかなのか、全く本質的に違うものかという事である。私は、違うと思っている。それは、巨大な累積赤字が重くのしかかっているからである。金本位制をやめて40年、政府の信用だけで通用している不換貨幣制度が軋んでいるからだ。(”End the Fed" を読んだ影響も多い。やっと読み終わりそうなので、何とか今週には書評を書くつもり)

政治は、人々の暮らし、現在においては端的にお金をどうするかと言う話である。(暮らしと一言で言っても漠然としすぎるのであるがそれは取り敢えずおいておく)もし、選挙が、もし間違った方向性であったとしても、所謂民意を正確に反映しているとすると、今回の選挙で明らかになった保守回帰の流れが、2012年そして2014年を確実に強くなって行くと考えているからである。

保守回帰と言っても、「小さい政府」と言う漠然とした、人それぞれの思いがあるが、内政問題では、今まででは考えられなかったような福祉政策の見直し、例えば Social Security (国民年金)の一部民営ではなく、段階的な廃止さえも俎上に上がろうとしている。外交も軍事費縮小という方向からのの見直しを否応無しに迫られるのである。

アメリカの政治は変わる可能性は大いにあるのである。忘れては行けないのは、アメリカの保守には、憲法と言う還る場所が場所があると言う事である。

アメリカの保守回帰の動きは、絶対に日本の政治に影響を及ぼす。福祉政策の見直しがタブーでなくなったり、外交軍事的にはアメリカの軍縮が日本の軍拡を欲するという矛盾した形で現れる。

日本でも、右翼的なイデオロギーからでなく、本質的な保守的な政治理念の論議と真に保守を理解した政党(自民党なりの党派)の出現すれば、近い将来絶対に主流になれる。そして、それは絶対に必要なことなのである。