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911 テロ首謀者の裁判 in NY

2009-11-26 04:00:19 | アメリカ政治
先週のニュースになりますが、911の首謀者としてパキスタンで捕まったKhalid Sheikh Mohammedの裁判が、ニューヨークの裁判所で行われる事が決定した。捕獲以来キューバのGuantanamo収容所に留置されていたが、ニューヨークに移管される事になる。

当初、戦犯として軍事裁判の予定であったが、司法長官判断(当然、大統領判断でもあると思われる)で、刑事裁判として扱われる事になった。容疑者として、アメリカ市民と同じ権利が与えられる。

以前には彼はテロの首謀者として911の計画、実行した事を認めていたが、刑事裁判として起訴された時点で無罪を主張した。これで、ニューヨークで殺人罪(?)として刑事裁判が、ちんたらと続く事になる。

ちょっと考えただけでも、以下の様な心配事がある。

1 刑事裁判なので、基本的に検察側の証拠に全てアクセス出来る事になる。その中で収容所での取り調べが改めて話題に上る。今年の春に収容所での取り調べが拷問だったのではないかとの疑問が、オバマ政権よりブッシュ政権のやり方を批判する形で上がっている。よって自白は拷問を受けたと言う事で採用されない可能性がある。

2 911がニューヨークなので裁判が行われる事に、それなりの正当性はあるが、ニューヨークは元々アルカイダの標的であり、テロ再発の可能性が高くなる。

3 容疑者は反論出来るので、アルカイダのプロパガンダ(反アメリカ)になるのは確実である。被害者の家族も、これらの主張を聞かされるのである。

OJ シンプソンが無罪になった裁判方法(州が違うので完全には同じではにが)を使うと考えると何が起きても不思議は無いと感じるのは私だけではないだろう。

では、なぜこのような判断が下されたのだろうか?

簡単に言うと、対テロ戦争を嫌っているオバマ政権が、ブッシュ政権を批判し違いを明確にするための一連の戦略の一部である。先ずは就任早々Guantanamo収容所を一年以内に占める(これは目処が立っていない)、収容所での拷問を追求(これも決着していない)、テロリストにもアメリカ人と同じ人権を与える(テロ(戦争行為)ではなく犯罪として裁判)等である。国益を考えず政治的な判断だけで処理しようと成れの果てである。

裁判を巡って何が飛び出すか予測もつきませんが、アメリカに取って良い事は何も無いと思う。