暘州通信

日本の山車

◆31058 常楽院の妙音十二楽

2012年05月27日 | 日本の山車
◆31058 常楽院の妙音十二楽
□寺院名 常楽院 
□所在地 鹿児島県日置市(吹上町)
□汎論
 滋賀県大津市、逢坂の関にかつてあった【常樂院】は、蝉丸(せみまろ)の、

  これやこの 行くも帰るも 別れつつ しるもしらぬも あふさかの関

 でよく知られる【逢坂ノ関】があったところで、いまも狭隘な地形の坂道がつづく、名水【走井】には、江戸時代、走井餅で知られる茶店があり、いまは月心寺と角行燈が懸かるのが旧跡だとか。かつて逢坂の関に常樂院という庵があり、薩摩の島津忠久は妙音寺常樂院の僧侶、寶山検校を薩摩に招いて開院したのが同名の【常樂院】だと伝わる。島津家久は、元和五年(一六一九)に、鹿児島城下に移転し、吹上町の常樂院は小院として残ったが、本院も廃佛毀釈、戦災のうきめにあい、現在は宮崎県日南市に移転している。吹上町の小院も現在はわずかに佛堂一棟と住職墓碑が残るのみとなっているが、鹿児島県の史跡に指定されている。
 この吹上常樂院では毎年一〇月一二日に【妙音十二楽】が、薩摩琵琶、法螺貝、鉦子、篠笛、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)など一二種の楽器により合奏され、宮、商、角、徴、羽の五音が和し、読経が行われ、さながら敦煌の莫蒿窟の壁画や、宇治平等院、鳳凰堂に見られる清風、寶樹をわたるという佛教音楽の世界とはかくやとの思いがする。
 鹿児島県指定民俗文化財の指定を受ける。

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