◆01339 楢泉庵 横山家 27
深浦漁港の厨子
青森県西津軽郡深浦
江戸時代中期、陸奥(青森県)大間を北海の物資を満載して西に南下した飛騨屋久兵衛の船は鰺ヶ沢を過ぎるあたりから海が荒れだし、ついに一大暴風雨となって、あわや難破も免れない状況に陥ったが、たまたまこれを望見した深浦の漁民が仲間たちに急報し、知らせを受けた漁民らは多重遭難の危険をも顧みず必死に小舟を操船して乗組員を救助、飛騨屋久兵衛の積荷は一部は海に投棄されたもののそのほとんどは無事で、深浦の港に無事誘導され避難することができたのだった。
飛騨屋久兵衛は深浦の漁民たちの勇気ある奇特の行為に、感涙に噎びながら深く感謝の気持ちを礼に託したのだった。
こののち、飛騨に無事に帰ることができた飛騨屋久兵衛は、楢泉庵主、横山彌右衛門に事情を話すとともに特に依頼して斐太ノ工を陸奥深浦の漁湊に派遣して厨子を作らせ、うちに飛騨屋久兵衛の船に安置してあった【馬姐女神像(海神像)】をおさめ、土地の寺院に奉納したのであった。