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『ファントム』その5

2005-06-09 | └『ファントム』
オペラ座とは、一般的には「オペラを上演する劇場」のことですが、固有名詞として使われる場合には、「パリのオペラ座」を指す場合が多いようです。「オペラ座の怪人」のオペラ座のように。

ただ、「パリのオペラ座」といっても、一つではないようで、1989年に完成した「新オペラ座」というのもあるようです。こちらはバスティーユにあるので、オペラ・バスティーユと呼ばれていますが、ハイテクを駆使した現代的な作りで、より幅広い年齢層にオペラの魅力を楽しんでもらうための劇場になっているそうです。

「新オペラ座」ができる前は、もちろんオペラ座といえば、1862年に完成した「オペラ・ガルニエ」のことを指しました。「オペラ座の怪人」の舞台です。幅125m、奥行き73m、床面積1万1000㎡。世界最大級の劇場です。外観だけでなく、内装も凝りに凝った意匠が施されました。高さ30mの吹き抜けホール、シャガールによる華麗な天井画、大理石による彫刻…。内部構造のあまりの複雑さは、「まだ誰も訪れたことのない部屋」、「地下の迷路」といった伝説を生むことになります。そして「怪人」の噂も。

当時のフランスは、ナポレオン3世による第二帝政下にありました。フランス資本主義の確立期、ブルジョワジーの時代です。オペラ座の建設も、そんなバブルの波に乗って行われたのでした。コンペで建築主任に採用されたのはシャルル・ガルニエでした。『ファントム』には、エリックがガルニエのもとを訪れる劇的な場面が出てきます。あの手この手でなんとかオペラ座の建築に関わろうと策を講じるエリック。そんな彼に、ガルニエは思いがけないものを見せる…。

それからのエリックはオペラ座に文字通り「はまって」しまいます。それは、言い換えるならば母親の幻影に突き動かされたということです。クリスティーヌは、そんな彼の前に突然姿を現すのです。母の面影をそっくり持ったまま。

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