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無知の知

ほたるぶくろの日記

春ウコンについて

2011-01-09 23:48:47 | 生命科学
年末年始の空き時間に少し集中して春ウコン研究会のHPの記述を読ませて頂いていました。また、その他の春ウコンに関する情報も探索しておりました。これから次の二点にわけてまとめてみようとおもいます。
1)春ウコンについて
2)春ウコン研究会HPのがんに関する記述について

1)春ウコンについて
まず「春ウコン」は「ウコン」とは異なるものであり、成分はもちろん薬効も違うのだということがよくわかりました。○○○の力とか世間でさかんに宣伝されている「ウコン」は別名「秋ウコン」、カレーに用いられる香辛料ターメリックのことです。主な薬効成分はクルクミン、ターメリックの黄色を示す色素です。胆汁の分泌をよくし、胃の調子を整えるとされています。このターメリックは黄色の染料としても使われてきました。インドでは外用にも使われ、傷の治療、美容にも用いられているようです。

ところで「春ウコン」は「ウコン」(秋ウコン)と何が違うのでしょうか。植物としては同じショウガ科ウコン属ですが、異なる種です。ウコンに比べ苦く、ショウガのような見た目は同じですが、中身は黄色が強いです。ウコンはどちらかというとオレンジ色に近い色です。成分的にはクルクミンはウコンの10分の1、しかし精油成分は6倍含まれ、効果の範囲も広いと言われています。

ウコンの歴史は古く、インドのアーユルヴェーダ植物に記載されているとのことで、約6千年前から栽培され医療に用いられてきたということです。そしてびっくりしたのは周の時代(紀元前1047年頃~256年頃)倭国からウコンが献上されたとの記載があるとのことです。日本から中国に伝わったというのです。例えば、中国には古代中国(紀元前2740年頃)伝説の人物「神農」(牛頭人体だそうです。。。)が365種の薬物を紹介した、本草の古典『神農本草経』があります。しかしこれは原本は残っておりません。ただこれを底本として書かれたとされる、南朝(500年頃)時代に出版された『神農本草経注』にはウコンの記載がないそうですから、やはり古代中国では知られていなかった生薬なのかもしれません。時代は下って明時代末の1596年、李時珍による『本草綱目』にはウコンが記載されています。しかしこれはどうやら秋ウコンのことのようです。

春ウコン研究会その他のHPには、ウコンは漢方の三品分類(さんぼんぶんるい)では上品(じょうぼん)=不老長寿薬に分類されているとあるのですが、この点に関しては中品(ちゅうぼん)=保健薬と書かれている文書もあり、これはもう少し調べる必要がありそうです。またややこしいことに、漢方の配合薬(中草薬)としての鬱金(うこん)とは春ウコン(植物としては中国では鬱金、日本では姜黄)または秋ウコン(植物としては中国での姜黄、日本では鬱金)の塊根部分をいい、根茎を姜黄(きょううおう)というそうです。しかし上記のことが正しいとしますと、漢方では塊根部分であれば春ウコンと秋ウコンを区別しないで鬱金として用いるとのことになり、いささか疑問に思います。中医学の様々な古書、教科書においても混乱がみられるということで、鬱金に関しては今後の研究がまたれると「ウチダの和漢薬情報」にはありました。

(独)国立健康・栄養研究所のデータベースにも秋ウコン(Curcuma longa L.)や紫ウコン(ガジュツ)については記載がありましたが、春ウコン(Curcuma aromatica)については記述がありませんでした。また、秋ウコンの場合のような重篤な副作用もほとんど報告がないようです。総じてあまり突出した薬効成分がみられない春ウコンだからでしょうか、今のところデータが不足しているという感じがします。逆にそれほど危険性はない植物ともいえるでしょうか。沖縄や屋久島で誠実に栽培、加工されているものであれば大丈夫とおもいます。

春ウコンの効果ががんに限らず、糖尿病、主に自己免疫疾患と考えられるいくつかの難病、アレルギー疾患に及んでいるという点は大変興味深く思いました。またがんの症例29例のうち有効であったのが24例というのは驚異的な数字です。これが本当にがんの全症例なのかどうか興味深いところです。また、がんが退縮しCTなどで検出されなくなった時点で春ウコンの摂取を止めるとすぐに再発し増悪したという転帰は丸山ワクチンのことを彷彿とさせます。春ウコンが免疫系を賦活化し、がんを退縮させると考えるのは自然なように思います。どのくらい摂取を続けることで、がんが完治し発がん体質を変えることができるのか、何らかの目安はあり得るのか、今後の検討がまたれるところではあります。