無知の知

ほたるぶくろの日記

微生物叢

2016-01-31 11:55:42 | 生命科学

マイクロプラスチックのゴミが大量に海に漂っている、という報道に接して少し妄想がふくらんでしまいました。マイクロプラスチックゴミが問題とされているのは「人工物で生分解されないからどんどん蓄積して行く」から。そしてそれらはプランクトンにとりこまれ、それを餌とする小魚などに取り込まれ食物連鎖を経て最終的には陸上の動植物に悪影響を及ぼす、という説明です。

しかし、2009年頃にプラスチックを生分解する細菌はいくつか分離されました。プラスチックを代謝する微生物が存在することは確かなようです。海の中にもいそうだ、という報告もあります。

じゃあ、大丈夫じゃないか、と安心するにはまだ早いと思います。私の妄想はここから始まります。マイクロプラスチックは今までの海には大量にありませんでした。ですからそのような微生物は大量に繁殖することはなく、一生懸命探したら見つかった、程度の数でした。しかし、今濃度がどんどん上がっています。海洋生物の中にも蓄積され始めています。そうなると、それを餌とする微生物の繁栄が予測されます。今はひっそりとしている彼らが一挙に大増殖するのです。

微生物の増殖曲線はご存知の通り指数関数。最初はなかなか増えなくてもある時からはものすごい数になって行きます。条件が整えばガンガン増えるでしょう。そうなると陸海を問わず地球上マイクロプラスチックのあるところにはこの微生物が大繁殖することになります。もしかしたら、海の底ではもうすでにひっそりとその時が来ているかもしれません。これらの微生物の性質を私たちはまだ良く知りません。どんな代謝をし、どんな毒素を産生するのか?他の生物への影響はどうなのか?海洋生物や陸上の動植物はまだ彼らと共生したことはないかもしれません。そうなるとどんな影響が出てくるのかは全く未知です。

もしかすると、地球上の生物のあり方をすっかり変えてしまうほどの大変化を起す可能性もあります。微生物は小さいですが、彼らのお陰で大きな多細胞生物は生きています。彼らの変化は、必ずわれわれに何らかの影響を及ぼすでしょう。マイクロプラスチックの数を数えることも重要ですが、海洋微生物の変化を観察することもさらに重要かもしれません。


遺伝子治療

2016-01-23 19:51:28 | 生命科学

いよいよ遺伝子治療が現実のものになろうとしている、という実感があります。遺伝子に傷をもって産まれてきた方々には朗報。そして諸刃の刃の片方は、デザインされた生物があります。もちろんこれは人間も例外ではありません。とうとう来るところまで来てしまいました。

先日サイエンスの少し前の冊子を閲覧していました。年末になるとその年のブレイクスルーとも言うべき科学的成果を特集する記事がでます。2015年のブレイクスルーには次の話題が読者により選ばれていました。

1. 冥王星
2. CRISPR
3. 中枢神経系内のリンパ系
4. エボラ・ワクチン
5. (同点)心理学実験の再現性/量子もつれ

どれも重要な話題ですが、私の注目は2番目にランクインしたCRISPR。clustered regularly interspaced short palindromic repeatsがこの名前の由来で、ヨーグルト会社が自社の細菌のウイルス撃退という防御機構を研究する中で見つけた特殊なシステムです。特殊なDNA配列を見つけるとそこに結合しDNAを切る性質を持ちます。ファージ(細菌に感染するウイルス)に感染した記憶をDNA断片としてゲノム内に留め、再度感染したときには、そのファージに対応した断片を用いてファージのゲノムを切断し、退治します。細菌など原核生物の免疫機能です。これはこれで大変なことなのですが、さらにこのシステムをうまく利用すれば、いわゆる真核生物のゲノム編集に利用できることに研究者は気づいたのです。これがCRISPRシステムの始まりでした。

CRISPRは特殊なDNA配列に対応してゲノムのDNA二重鎖を切断する酵素複合体なので、この「特殊なDNA配列」をうまく設定してやれば狙った場所でゲノムを切断することができます。そこでこのシステムを改変し、特定の遺伝子を編集する技術へ進化させました。この技術進化はこの三年ほどで急速に進んできたものです。

昨年には中国の若い研究者が、廃棄される予定のヒトの受精卵をもちいて特定の遺伝子を改変する実験をし、論文発表しました。この論文では遺伝子改変の確率が非常に低かったこと、目的とした遺伝子以外にも組み換えが起こってしまっていたことなども報告されており、この技術の問題点、改良するべき点の指摘がなされています。しかし、ヒト遺伝病治療への道が一気に開いたことを示しました。遺伝病で悩まれている方々への福音です。

しかし、その一方で生物のゲノムを自在に繰ることができる日が近いことも示されました。これまでも、遺伝子組み換え作物など、生物のゲノムを編集し、様々な遺伝子組み換え生物が作られてきました。しかし、これまでの技術は遺伝子組み替え操作の痕跡を残すものでした。そのため組み替え操作に必要であった特定の配列の有無を調べることで、それが遺伝子操作を受けた生物かどうかを見分けることは可能でした。ところが、このCRISPRでは痕跡は残らない、非常にきれいなゲノム編集を行うことができるのです。

懸念される問題は深刻である一方、遺伝子に変異のある患者さんの治療への大きな一歩が踏み出されたと思います。これから技術のブラッシュアップがあり、まずは動物でこの技術は使われて行くでしょう。そして人類は新たな生物をつくり出すことになるのでしょうか?


大雪になるか?

2016-01-17 17:16:55 | 日記

昨年、大雪になる、という報道で皆警戒したものの、みぞれが降っただけで済んだことがあります。あの時は何か予想外のことがあって、大雪にはならなかったようですが。

今回はどうなんでしょうか。

今のところ雨で雪ではないのですが、今夜は何度も外を確かめることになりそうです。雨から雪に変わると凍結もあるでしょう。東京は雪に弱いので、気をつけなくてはいけません。都内で地鳴りがする、との騒ぎもあるようですし、地震も気をつけないといけません。何かと賑やかな昨今。何があっても可笑しくない時期ですから、覚悟は決めておかなくてはいけません。

油断をすると大変なことになります。

おりしも今日は阪神淡路大震災の日。大自然に感謝です。


しょうがの香る甘酒

2016-01-16 09:12:57 | 日記

ずいぶん前のことです。母の生前、今時分の季節に一緒に買い物に行って、カップ酒の容器に入った甘酒をなんとなく買うことになりました。それまでは甘酒といえば自宅で酒粕を溶かしてお砂糖を加えたものをいただいていましたが、妙に美味しそうにみえたのです。母も乗り気で今の季節はいいわね、などと言いつつ楽しみに帰りました。

寒い日で身体も冷えていましたので、さっそく温めていただきました。いい具合にしょうがが香り、しみじみとおいしいな~、と感じました。凍えていたお腹に温かい甘酒がおさまって、内側から暖まる気がしました。甘酒っておいしいわね、と母も喜んでいたのを憶えています。しょうがの香りがまた麹の香りに良く合っていました。

最近は有名な酒造会社が米麹のみの甘酒を販売していますので、今はそれを買います。これにはしょうがが入っていませんので、温めるときに自分でしょうがを加えます。なくても美味しいのですが、私は入れたものが好きです。寒くなるとなんとなく憶い出し、今は自分だけで頂きます。

しょうがの香る甘酒はちょっと懐かしい幸せな想い出につながっています。


化石燃料

2016-01-14 07:18:43 | 日記

原油価格が下がっています。この傾向は昨年から。原因としては米国のシェールオイル増産、OPECの事実上の崩壊、世界的な経済停滞、が挙げられています。

しかし、それ以外に石油に頼らないエネルギー源の模索が本格化していることも見逃せません。地球温暖化、CO2削減の動きもその流れです。これは大きな潮流で、日本もかなりの予算をそこに注いでいます。この潮流をさらに大きなものにして行くことが、地球の今後を救うのだと思います。

石炭、石油など自然が永い年月をかけて作ってきたものを、何と人間は無駄に使ってきたのでしょうか。浪費はもう許されないところまで来ています。