無知の知

ほたるぶくろの日記

菌で菌を制する

2016-07-24 10:38:06 | 日記

メーという調味料、といいますか不思議な液体がベトナムにあるらしいです。どこのご家庭でも自家製のメーがあって。作り方は簡単。加熱したご飯と水をまぜてペットボトルに入れてその辺りに放置。2〜3日すると出来上がり。酸味があって、魚の匂い消しのためメーで洗ったり、調味料としてスープに入れたり、煮物に入れたり。売られているメーもあるようです。

これって乳酸菌と麹菌の水溶液でしょうか。すごいですね。

もう感動ものです。これに酵母が入ってアルコール発酵したら日本酒です。どぶろくなどこんな感じで始まっているわけですね。放っとけばできる環境なのがすごい。

ご飯も今の時期、残ったものをお鉢に移して、うっかりしていると何だか変な匂いが。。。なんて良くありますよね。大体納豆系の匂いがしますが、これって枯草菌でしょうか。カビが生えるまでほっとくことはあまりないとおもいますが、まあ放っておけば生えます。それこそいろいろ、カラフルなことになります。

普通の生活圏には数百から数千の種類の微生物がいます。その時の条件に応じて、ある菌に適した環境があればそれがわっと増えてきます。その全てを消毒する?滅菌する? まあ、不可能でしょう。

考えた方がいいのは「そんなことをする必要があるのか?」 です。

そもそもわれわれの身体は微生物に守られています。皮膚然り、大腸しかり。おそらく口腔内もそうでしょう。問題はどういう微生物が常在しているのか?だと思います。殺菌や滅菌より、微生物の種類に気を配る方が現実に即していると思います。おまけに日本はアジアの気候風土で、微生物にとってはかなりの好条件なのですから。

この何十年も滅菌、殺菌と騒ぎ立てている今の日本のご家庭内の常在菌はどうなっているんでしょうか?とても心配。今の日本のお家でメーを造って、果たしてどんなメーになるのやら。どぶろくはできるんでしょうか?

発酵食品を沢山使うと、そこにいる菌が空中にも拡散します。台所から始まって人につき、あちこちに運ばれ、家中に広がって行きます。「手入れ」をすると、その時の人に付いていた微生物も一緒につきます。そうしてそこの微生物相が変化するかもしれません。ぬか床のお手入れはぬか床の上下を返して酸素を中に入れること、底の方のぬかの嫌気性菌を不活発にすることを目的としていますが、こういう効果もあるでしょう。

長い歴史の中で培ってきた、われわれの暮らしと仲の良かった微生物たちをもう一度家の中に増やしてあげたいと思います。そんな思いで発酵食品を使っていると、消毒剤があまり使えなくなります。そこで重宝するのがお酢やクエン酸など。

もっと微生物たちと共存する生き方を考える方が日本の暮らしには合っていると思います。

 


感動の味

2016-07-22 19:24:30 | 日記

昨夕、とうとう生もと造りの日本酒を頂きました!

おいしい です。 香りの中に甘酒の香りを感じました。

華やかな香りではなく、良い微生物の香り。確かにヨーグルトに通じる香りでもありました。

いろいろ都合もあって、一合しか頂いていないのですが、十分満足しました。

後口もすっきりしています。

他のブランドもいってみたいですね。

取り急ぎご報告まで!


夏に向けて

2016-07-19 07:58:48 | 日記

前回日本酒に凝っていることを書きましたが、その後日本酒探索は進んでいるかといいますと、さっぱり。残念ながらなかなかその時間がとれないのが実際のところです。

あそこに行こう、という場所は決まっていますが、帰りにちょっと寄る時間が今のところありません。お付き合いの席などはありますし、家族とも出かけたりします。仕事仲間とは出張先で食事をしますが、なかなか自分だけで日本酒を探索する、というわけにもいかず。

まあ、気長に機会を狙っています。まずは生もと造りのお酒と、そうではないお酒の良いものを選んでもらって飲み比べてみます。何か感じることができるのかどうか、とても楽しみです。

ところでその後、酒粕、甘酒など伝統の醗酵食品、飲料についても調べています。いわゆる「酵素飲料」などと呼ばれている果実と水を混ぜてその辺りに放置しておくものも一種の醗酵食品です。どうしてこの手のものが「酵素」と呼ばれるようになったのでしょう?

日本酒の製法の影響でしょうか。明治に入り、生もと造りの最初の工程、山卸しを麹菌のアミラーゼ液(酵素液)を混ぜることで代替できる、ことが発見されました。このことは醗酵に関わる方々の間では衝撃的だったと思います。『酵素』がようやく単離された頃に、何らかの物質が麹菌から出て、米が柔らかく糖化していくことを予想した方は素晴らしいですね。

ともあれ、麹菌(カビの一種)、酵母(これもカビの一種)、乳酸菌、硝酸還元菌、など野菜や果物、水など自然環境中に存在する微生物が穀類(米、麦など)、野菜、果物、魚や肉を消化分解したものは全て発酵食品です。

その中にはペプチド、アミノ酸、糖、の他に微生物の生成するビタミン、香りの成分、が含まれます。さらに菌体自身も存在しています。菌体とはセルロースと様々な菌に特徴的な糖鎖、脂肪酸を指します。この辺りが免疫系の活性化に重要とおもわれる成分。

発酵食品が健康食品として重要な理由は、食材が分解されてペプチド、アミノ酸、糖ができ、旨味が増す点ではなくて、様々なビタミン類と菌体成分だと思います。微生物はそのときに生きている必要はありません。彼らがつくり出したこれらの成分が腸内の環境に影響します。具体的には免疫系細胞の活性化、それら細胞から分泌されるサイトカインが腸内の血流などに影響すると考えられます。

腸内環境が健全な腸内細菌叢を養い、腸内の微生物的環境が良くなり、免疫系の活性化が起こることで全身の健康状態が良くなります。これは健康の保持、だけではなくもう少し踏み込んで言うならば、様々な病気の治療を援助することにもなるでしょう。

効いているのかどうか分からないような「生活習慣」が遠い未来へ影響します。食べることは本当に大事です。