無知の知

ほたるぶくろの日記

気分転換

2021-07-26 23:35:13 | 日記
この連休はお天気は良かったものの、遠出はできないので、近辺を散歩したりして過ごすことに。歩くのが目的、というよりも気分転換。

仕事をしていては出会わないような何かと出会う。見たり聞いたりする。そんなことを経験するのが目的です。


今回は近くのお気に入りラーメン店が新しくオープンした姉妹店へ寄ることに。


ワンタンをトッピングしてもらったのですが、


麺が幅広できしめんのようなのです。なるとのすぐ下がワンタン。その右にある反物のようなのが麺です。スープは醤油か煮干し。今回は醤油で。

つるん、もちもちとした麺にスープはあっさり。ワンタンはつるるん。ワンタンの具が生姜の香り高く、しかもふわっとしているのでした。

自分で作るとカッチカチになります。さすがでございます。

いや、お腹いっぱいになりました。さっぱりとしたスープなので、食べられたのです。大した量がありました。次は煮干しスープでこの麺を食べてみたいですね。


昨日行方不明であった阪大の先生は無事見つかったようです。詳細はまだ不明ですが、ご無事だったようで、本当に何よりです。

さて、台風が近づいています。東京は直撃を免れましたが、大分勢力も弱まっているような。おかげさまで明日は少し涼しいとか。
一息つけます。

蟄居の4連休

2021-07-25 20:30:08 | 日記
本当は観に行きたい展覧会があったのですが、某旅行代理店の方から「オリンピック期間中は出歩かない方がいいですよ。水際チェックズブズブですから。」と忠告されましたので、諦めました。


これは複製らしいです。
聖林寺の十一面観音菩薩様を拝観した時、少しだけ本館を廻ったのですが、その時にこのコピーを観ました。写真撮り放題とのことで、喜んで取ってきました。私この部分が特に好きなのです。

えーっと、そうそう、それで、まあ仕方ないので、いまだに残っている冬物の洗濯やら、夏物を引っ張り出したり、キッチンの片付けをしたりしていました。4連休ですが、その前がかなりハードだったのです。おまけに急に暑くなったこともあり、結構ヘロヘロでした。

連休の初日には久しぶりに夜中の動悸の発作もありましたし。

ただし、今回は冷静に受け止めました。少なくとも心血管系には異常がないので、あとは私の気持ち次第。大丈夫、と心を強くして、夜中でしたが緑茶を淹れ、本など読んでやり過ごしました。

動悸は数分で治りましたが、しばらく眠れなかったですね。おかげさまで今回は安定剤の必要はありませんでした。

梅雨が明けて、蝉の声が聞こえるようになりましたら、頻りに昨年の今頃のことが思い出されまして。こればっかりは避けようがございませんからね。最初の季節の一巡りはなかなか大変なものです。

お盆も近いことですから、せいぜい仏壇へのお参りを丁寧に、と思っております。

そんなことを書いていましたら、ちょっと深刻なニュースが。
昨日、阪大の審良静男教授が天川で遭難したらしいとか。今日一日捜索されたが見つかっていないそうで、心配されます。

怪我などされて、動けない状態なのでしょうか。無事を祈ります。

新型コロナウイルスワクチンについて3

2021-07-24 15:52:58 | 日記
今日も暑いです。
風があるので少し涼しさを感じます。昨夕は開会式を観ました。ともかく始まりました。少なくともこれまで準備に励んできたアスリートの皆さんは、舞台を得ることができました。あとはこのイベントによる感染者の増加が致命的にならないよう、祈るばかりです。



さて、ワクチンについて、あともう少しだけ。

今回の新型コロナワクチンは人類史上、初めてのmRNAワクチンです。しかし、配合や製造法においては機密事項があると思われますが、ワクチンに使われている成分は、ほぼ全て明記されています。(隠されたものがあったりしますと、後で大変なことになります。)したがって、ワクチンの構成成分について疑義を挟む余地はほぼないと思います。

私が今回いろいろな方から質問された主な点は、
1)mRNAとは何か、
2)接種されると何が起きるのか、
3)接種されたmRNAはその後どうなるのか、
の3点でした。

先の2点については前回説明しました。
3点目についても軽く触れたのですが、もう少し追記します。このmRNAが細胞内に入り、ウイルスのタンパク質を作成すると数日でほぼ全て分解されてしまいます。もともとmRNAは安定的に長期間細胞内に止まる物質ではないのです。
ですから、いつまでもウイルスのタンパク質を作り続けるわけではありません。ましてや外へ排出するほど大量のタンパク質は生成されません。

また、ある方は
ゲノムが変更されてしまうのではないか。つまり我々の遺伝子が書き換えられてしまうのではないか?
との恐れを訴えられていました。

動物細胞には「逆転写酵素」がありません。今のところレトロウイルスなどが持っているのみです。したがって、ワクチンのmRNAからDNAが生成され、ゲノムに組み込まれることはあり得ません。つまり細胞内に取り込まれたからといって、ゲノム情報を変化させることは”ありません”。

そんなに簡単にゲノム書き換えができるなら、遺伝病をどんどん治療することができます。特定の遺伝子欠損による症状でご苦労されている患者さんがいらっしゃるのですが、その方達にとって、安定的に欠損している遺伝子をゲノムに組み込み、遺伝子を発現させることができるなら、素晴らしい朗報となります。

これで私が出会った皆様からの質問事項には、今回ある程度お答えすることができたかと思っています。
それでもワクチンを接種するかどうかの決断は個人に託されています。

どちら様も、ご自分の納得のいく判断をされますよう、願っております。

新型コロナウイルスワクチンについて2

2021-07-23 17:26:47 | 生命科学
mRNA(メッセンジャーRNA)は、細胞内で遺伝情報伝達を担う一本鎖RNAです。ゲノムから遺伝情報に基づいたタンパク質を作る過程で、一時的に作られるもの。mRNAは、細胞内にあるタンパク質を作る装置、リボゾームへ行って、タンパク質を作ります。



今回のワクチンでは、トジナメラン(Tozinameran)と名付けられた、ウイルスの表面にあるスパイクタンパク質(の一部)をコードする約4000塩基からなるRNAが使われています。
約4000塩基ですから約1300アミノ酸残基のタンパク質ができます。

生成されるタンパク質は、そもそもヒトはおろか、いわゆる動物界にはないタンパク質です。したがって、ワクチンによって入ってきたmRNAからウイルスのタンパク質ができますと、作ってしまった細胞は「あれ!?変なのができちゃった。」ということで、すぐに壊し始め、それを細胞の表面に提示します。
つまり、その細胞の中ではウイルスにかかったときと同じようなことが起こっています。

その細胞表面に提示されたウイルスタンパクの断片をパトロール中の免疫細胞がキャッチし、免疫システムへ非常事態宣言が出されます。
その時にどの細胞を標的にするのか?の「印」が上記のタンパク質の断片です。「変な奴が入ってきたみたいだ~」ということで免疫システムが動き始めるのです。

それが、新型コロナウイルスに対する免疫を確立するということです。


ところで、一本鎖RNAは物理化学的に弱いこと(室温で1時間もすると断片にになっている)、自然界にはありとあらゆるところにRNA分解酵素があること(例えば唾液や汗にもあります)などから大変扱いにくい物質です。先にコロナウイルスの検出検査が難しい、ということを書きましたが、この辺りの事情が検査方法の確立も難しくしていました。

また今ワクチンの輸送方法についても、超低温を保たなくてはいけないのがネックになっている、など報道されていますが、その通りです。ファイザーがー80度、モデルナはー20度で輸送保管する必要があります。これもmRNAが物理化学的に弱いためです。
もう一つ振動など物理的な力にも弱い。おそらくワクチンの入っている瓶を振っただけで壊れるはずです。ですから輸送の時も瓶に激しい力が加わらないよう、工夫がされているはずです。

また、接種の際に使用する注射針についても一時細い針を使う使わないの議論がありました。これもまたダメで、ある程度の太さの針でないと、注射針の中にワクチンを吸入したり、排出したりするだけでmRNAがズタズタになる、という笑えないことが起きます。


では、こんなにも弱々しい、ウイルスの表面タンパク質をコードする遺伝情報を持ったmRNAをどうしてわざわざ使うのか?

安価で速やかに大量に生産可能であること。精製が楽なこと。逆説的ですが、壊れやすいこと。これらのことからmRNAはワクチンの素材として採用されたと思います。

ウイルスの表面タンパク質をワクチン素材として使うことを考えてみます。
まずこのタンパク質は約1340アミノ酸残基。これを人工的に大量に作るのはかなり大変なことです。
精製もmRNAに比べるととても大変。タンパク質はRNAに比べてはるかに複雑な性質を持ちますので。水溶性かどうかもわからない。よくあるのは塊を作って沈殿してしまうのです。そうなると、ワクチンに使うどころの話ではなくなります。

つまり、mRNAはさまざまの弱点があるのですが、タンパク質を使うよりもはるかにワクチンを作りやすいのです。


ところで、ワクチンの内容を詳しくみますと「mRNAを脂質膜で包んだもの」と書かれています。
実は、mRNAをどうやって細胞の中に入れるのか?というのもまた難題なのです。
この辺りの技術もこれらのベンチャー企業が別の目的で(例えばがんのワクチン療法のため)開発していたようです。
どのような成分の脂質膜にするべきか、は本当に長い間の基礎研究の結果があったからこそ、今回素早く決められたのです。
mRNAを特殊な脂質膜で包んで注射すると、筋肉をはじめとする注射部位の細胞が取り込み、mRNAからウイルスのタンパク質の一部を作り、抗原提示を始める。そしてある程度の時間が経つとmRNAは分解されて無くなっていく。しかし、ウイルスタンパク質の情報は免疫システムに記憶されています。

その状態で2度目の接種を受けます。すると、またウイルス由来のタンパク質が作られ、免疫系は「すわっ、またか!」ということで素早く免疫系システムのスイッチをオンにし、中和抗体をはじめとする、臨戦態勢をとります。この反応が「ブースター効果」と言われ、抗体の量をあげることになります。これで十分な新型コロナウイルスへの免疫が構築された状態になります。

(もう少し続きます)

新型コロナウイルスワクチンについて1

2021-07-23 11:01:13 | 生命科学
今回は長くて、面倒な内容です。
新型コロナワクチンについて、詳しく知りたい、と思っている方への情報提供ですので、興味のない方はスルーしてください。


先日、ワクチンについて相当怪しげな言説が飛び交っている、という報道をみました。

このコロナ禍が始まった当初のPCR検査についても、多くの怪しげな情報や、また政治的にすぎる情報が飛び交いました。

このコロナウイルスは1本鎖RNAウイルスであることから、検査がそう簡単ではなかったのですが、その背景などについて丁寧な説明が必要でした。行政側がそれを正しく行わず、曖昧な回答をしているうちに、SNSなどでは「わざと検査をしていない」などと宣伝されることになってしまいました。

もちろん、日本独特の行政的状況もあって、非常に非効率、かつ非論理的なプロセスも多かったことも一因ですが、主に確実な検査の標準手法、試薬などの確立に時間がかかっていただけでした。


さて、今度はワクチンです。

ワクチン投与が始まったばかりの頃は「われ先に!」の状況でしたので、よもや変な言説が流布するとは思ってもいませんでした。

それが、今や。。。

私の元にも最近個人的に問い合わせがあったりして、どうもみなさん、今回のワクチンについて、どう考えるべきか、判断に困っておられるようです。ワクチンについては「子宮頸がんウイルスワクチン」や「日本脳炎ワクチン」の例もありましたし、日本の行政が発出する情報が頼りない印象になってしまっていることは、本当に残念なことです。


そこで、この分野の仕事に長年携わってきたものとして、皆さまのワクチン接種に関する判断が少しでも明確になることを願って、今回の「mRNAワクチンはどういうものなのか」公開されている情報をもとに説明していこうと思います。




今回のこの新型コロナワクチンが「新しい」「世界初」であるのは「mRNA」を使ったワクチンである点です。そのために、確かに長期的な影響についてはわかっていないことも多く、専門家(この分野の研究に従事したことのある研究者と定義します。)も答えようのない部分です。

もちろん、すでにこれらの長期的影響に関する研究は始まっていると思いますが、これは非常に時間と費用のかかる問題です。明確な回答が得られるのを待っていては今の危機は回避できません。

従って、とりあえずは年齢の高い人間から順に接種し、とりあえずこのパンデミックを終わらせることが、現時点での公衆衛生学的な世界共通の認識だと思います。長期的な影響がわからない時点での子供たちへの接種は、持病のある方を除いては強く推奨されていません。


ワクチン接種の本質は、『免疫を獲得したい微生物など』の「特異的抗原」を「安全な形で」体内に接種し、予防的に免疫を獲得することです。

これまでのワクチンは大まかに『免疫を獲得したい微生物など』を不活化したもの(つまり感染しない死骸のような状態、いわゆる不活化ワクチン)や弱毒化したウイルス(種痘、日本脳炎生ワクチン、BCGなど)でした。

これらのワクチンを接種することは実際にその微生物に感染した場合とかなり似た状況を体内に作ることができますので、安全に免疫を獲得することができます。

ところが、このようなタイプのワクチン製作は非常に手間がかかります。安全性と特異性、効果を検証するために時間と費用のかかる、大きなプロジェクトです。年単位、下手をすると10数年単位の時間が必要になります。

そこで、以前から分子生物学的には研究されてきた、上記以外の抗原を使ったワクチンを、一気に人間へ応用することになったのです。

これまでもこれらの技術を用いて、小動物を対象にした免疫は行われてきました。それはもっぱら実験や治療に使用する、「抗体」を作成するためでした。さらに、20年くらい前からは、がんの治療やその他の臨床目的の技術開発が、主にベンチャー企業で行われてきました。

今回のファイザーのワクチンも元はと言えばビオンテックというドイツのベンチャー企業が提供した技術ですし、モデルナも米国のベンチャーです。

今回、これらの会社の技術が一気にワクチンへと応用されることになったのも、安全性の研究に対して大きな予算もついて、一気に検証が進んだためと思われます。

(続きます)