無知の知

ほたるぶくろの日記

野菜 − トマトのことなど

2017-06-25 11:54:09 | 日記

子どもの頃、トマトは大好きでした。ちょっと塩をかけてそのまま食べるとトマトの独特の香りと味が口一杯に広がって、なんだか元気をもらえる感じがしました。その頃トマトは八百屋さんや小さな商店の軒先にかごに入って売られていました。ちょっと早くて緑っぽいものでもしっかり味があって青い味がしました。

その後いつ頃からでしょう。大型のスーパーがぽつぽつ現れた頃からでしょうか。60年代後半から70年代にかけてトマトはだんだん味が無くなって美味しくない野菜になりました。酸味はあって、多少の香りはあるものの、あの昔の味を知っているととても同じ野菜とは思えず、どうしたんだろう、と思っていました。

その頃から水耕栽培などの言葉もちらほら聞こえてくるようになって、何となく水耕栽培で美味しくなくなっちゃったのか、と思っていました。

海外にいた頃も某国産のトマトが輸入されるようになってトマトが美味しくなくなった、という声もあって、それは水耕栽培だからだ、ハウス栽培だからだ、との話しでした。

しかし、それは流通にかかる時間のため、また完熟では痛みやすいので青い未熟果のときに収穫してしまうことが原因だったようです。そのため完熟してから収穫して流通させても痛まない堅い果実をめざして開発されたのが「桃太郎」という品種だったそうです。なるほど。

「桃太郎開発物語」というHP(タキイ種苗)によりますと、なんとこれは桃色品種だったそうです。え〜だから赤くないはず。

調べてみますと、日本で生食用に栽培されているトマトのほとんどが桃色品種だとか。かねがね何で日本のトマトは赤くなくて変な桃色なんだろう、と不満に思っていたんですが、わざわざ桃色の品種を開発して栽培していたとは。。。なんで。。。??

そのHPによると

「赤色のトマトは加工用だというイメージがあり、消費者に避けられてしまうのです。」

とのことでした。それってどういう消費者? 開発の始まりは60年代後半とのことですが、その頃の消費者はそんな感覚だったんでしょうか? すごい違和感。。。

開発、栽培に励まれてきた方には大変申し訳ないのですが、私はこの桃色にとても不満でした。。長らく。。

トマトの鮮烈な赤さは食卓に置いたときに何とも言えない力を感じさせるものです。私はどうして日本のトマトはこんな曖昧な色なんだろう、土地が合っていないのか、などと思っていました。味の変化もさることながら、この曖昧な色のためもあって、滅多に生食はしないようになりました。

そこでもっぱらトマトは調理に使うようになったのですが、それでも桃色トマトは曖昧な色のトマトソースにしかなりませんので、缶詰かピューレを使っていました。生食目的でトマトを買うときは高いですがフルーツトマトかミニトマトを使っていました。でもフルーツトマトはお高いですからたまーにでした。

とはいえ最近はもの凄い色のバリエーションがあって、ミニトマトにいたってはパレットのようなコーナーを見かけたりします。並べるだけで楽しい感じで食卓の彩りとしてはいいかもしれません。

大きなトマトでも赤いものが出てきています。野菜で鮮烈な赤を持つものは唐辛子と赤ピーマンくらい。あ、どちらもナス科ですね。ともかくお弁当にしても生のトマトを入れる気にはなりませんから、卵ととじにするなどして入れますが、彩りに一役買ってくれます。

サラダにするにしてもミニトマトより使い勝手がいいのでたまに買います。調理に使っても色合い、味、ともにいい感じです。

ところで味の変化について、品種の変遷も大きな要因だろうと思いましたが、最近出まわっている味の濃いフルーツトマトは品種に関係なく、栽培方法によるもの、とのことでびっくり。

もう一つびっくりしたのは未熟果にはトマチンなるアルカロイド配糖体があって毒性があること。知りませんでした。ナス科の植物らしい毒性ですね。

原産地アンデスの方は毒性が低いものを選別されて行ったのでしょう。

トマト、奥が深いです。


毒草

2017-06-18 08:51:59 | 日記

植物の姿形のバリエーション。様々な物質を生成する能力。それらは動物を越えています。様々な化学物質、医療用薬剤の原料が始めは植物に頼ったことも多いのですが、それもこれも全ていわゆる薬草が出発点だったからです。いまでも製薬会社には未知の成分をもつ植物を採取する人たちがいるようです。

そして薬理作用をもつ物質は薬にも毒にもなります。私が毒草に興味を持ち始めたのは、ある時スズランが毒草だ、ということを何かで知ったことでした。こんなに身近で当たり前のようにあって、愛されている花。花屋さんでも買うことができる花なのに。

それから園芸植物の中の毒性を調べると、何と沢山あるではないですか! 呆れたのはキョウチクトウ。これは私が子どもの頃はよく団地の生け垣などにありました。真夏の暑さにも負けずきれいな花を咲かせ、害虫にも強い植物だそうで使い勝手の良い植物だったのでしょう。

そういえば最近はあまり見かけなくなりましたが、安全性を考慮してのことでしょうか?

スズランの若芽はギョウジャニンニクと間違えて食し、中毒を起こす方も多いようです。もう季節は過ぎたと思いますが、気をつけて頂きたいと思います。

それからよく誤食の報道があるのは水仙。これはニラと間違えて食されるようです。水仙の毒も相当なものなので注意するべきです。

これらはとても有名な毒草ですが、案外園芸植物は毒草が多いものです。最近流行のクリスマスローズも毒草です。手入れの際には園芸用手袋は必須ですね。

最近はそういう心配のないもの、つまりハーブや野菜を栽培したい、と思います。何かのときには食べられますし、素手で触れる植物が一番。


南方熊楠

2017-06-10 07:45:07 | 生命科学

1867年にお生まれになり、1941年に他界されました。

今年は生誕150年なんですね。荒俣宏さんのコラムで知りました。南方熊楠さんの故郷、南紀白浜町には南方熊楠記念館では展示ホールが増設されたり、和歌山県田辺市の南方熊楠顕彰館でも原稿や英語論文の整理が進み公開されてきているようです。

南方先生のネイチャーへの投稿文など、かねてから興味津々なのですが、まだ手に入れていません。何とかしたいと思います。ネイチャーの他、ノーツ アンド クエリーズにも寄稿していたそうで、南方熊楠英文論考としてどちらも出版されているようです。

あの時代に鎮守の杜の重要性を生態学的な視点から訴えられた、重要な人物であり、知の巨人である南方先生について、もう少し深く知る必要があると思っています。

 


マックスウェルの悪魔による電流

2017-06-02 20:21:18 | 生命科学

これは果たして生命科学かどうかは微妙なんですが、ともかく分子の世界では活躍しているエネルギー変換らしい、ということで生命科学に無理矢理入れてしまいます。

NTTがマクスウェルの悪魔を利用して電流を取り出した、というニュースです。

http://news.mynavi.jp/news/2017/05/19/166/

熱ノイズの中から電子をひとつひとつ観測してエネルギーレベルの高いものを取り出して電流にした、というものです。電子は観測しないと粒子ではなく波として振る舞います。ところが観測してあげれば粒子としてきちんと取り出すことができるのです。理論上。

以前は技術的に難しかったのですが、最近の技術的発達でその命題に挑戦できるようになったと。そしてとうとう成功した、とのこと。

量子力学が直観的にわかるいい機会です。波としての性質を使った実用物もできるとさらに現実味をもって素粒子の性質を感じることができます。面白い時代になりました。