何を隠そう、私は牛乳が飲めません。
ヨーグルトは大丈夫なものと、ダメなものがあります。生クリームは大抵大丈夫です。たまに「う?」と思うものがあるくらいです。ココアもお店によっては牛乳の分量が多いととても飲めません。おまけにたっぷりと生クリームがトッピングされ、その生クリームが私にはダメなものだったりすると溜め息ものです。驚きはアイスクリーム。ちょっと前までのハーゲンダッツアイスクリームのバニラやストロベリーはダメでした。(ちなみに最近のものは大丈夫。これはこれでちょっと怖くもあるのですが。。)
ところがチーズは殆どどんな種類でも美味しく頂きます。牛乳をたっぷり使うホワイトソースもいたって美味しく頂きます。ホワイトシチューも大好き。
義務教育の期間、給食は本当に嫌な時間でした。中学のときには流石に残すことで凌いでいましたが、小学校の頃は飲むことを強制されていたため、申し訳ないことですが「地獄」のようでした。毎日のことです。本当に牛乳摂取の強制は辞めて頂きたい。毎日給食の時間には、どうやって牛乳を消費するか、が課題でした。ともかく臭いを嗅がないよう、息を止め、一気に飲み、その後息を止めたまま香りや味の濃いおかずを食べる。という作戦で凌いでいました。他にも数人そうやって涙目になりながら給食の時間を過ごしていた方を知っています。洋風の献立の時はそれでも何とかなるのですが、「ひじきの煮物にちくわの磯辺揚げ、パン(!)牛乳」なんて献立、信じられますか?おかしいでしょ。聞いただけでぞっとします。
健康にもいいわけがない、と思います。あの頃はまだ戦後の記憶が生々しい頃でしたから、ひもじい思い、栄養失調を経験した大人たちは、何とか次世代の子どもたちには十分な栄養を与えたい、との思いだったのだろうとは思います。しかし、それにしても「栄養」にばかりに気を遣われた給食にはあまり良い想い出はありません。牛乳にまつわる嫌な思いは根深く残っています。
こういう人間がヨーロッパに住むことになり、やや心配していました。乳製品を山のように消費する生活です。困ったな~と密かに思っていました。ところがそれは杞憂に終わりました。流石に牛乳は試したことはなかったのですが、ヨーグルト類はすべて大丈夫でした。生クリームもすべてOK。とくにバターの香りの良さ、味の良さは感動的でした。生クリームの味も申し分なかったです。アイスクリームもだめだと思ったことはありません。あの私の嫌いな成分の臭いが少ないようだな~と漠然と思っていました。
さて、牛乳、日本のヨーグルトと生クリームの一部はダメだが、チーズは大丈夫。アイスクリームはだめなのにホワイトソースはOK。一体どうしてなのでしょうか。自分でも本当に不思議です。
バターも好きですし、カテージチーズも大丈夫。乳固形分は大丈夫ということですね。つまり、乳清部分に私の嫌いな臭い成分があるようです。ホワイトソースが大丈夫なのは小麦粉によって、マスキングされるせいでしょう。ヨーグルトは乳酸菌の種類によって私の嫌いな成分を分解してくれない菌があるからだと思います。そういうことで、今でもこれという物質名は分からないものの、何らかの水に溶けている成分、ということは分かります。しかもヨーロッパでの経験からすると、ひょっとするとこの成分は日本の牛乳に多いのかもしれません。
最近は牛乳の生産者の方々も研究されていて、嫌な臭いは加熱殺菌の過程で変性したタンパクの臭い、ということで「低酸素加熱殺菌法」など開発されているようです。本当かどうか試してみればいいのですが、子どもの頃の想い出が強すぎて、とてもじゃないですが試そうとは全く思いません。
ところで牛乳の殺菌にはいろいろあります。大きく分けて「63℃~68℃、30分」の「低温殺菌」(=パスチュライズ)と「120℃~130℃、1~3秒」の「高温殺菌」、中間の「72℃以上、15分程度」の3種類があるようです。このうち高温殺菌法が一番殺菌力は強く、細菌の耐熱胞子も死滅させます。最も消費期限が長いので、スーパーなどでも一般的に種類は最も多いものです。それに比べ「低温殺菌」牛乳は種類も少なく流通量も少ないようです。
私は苦手な牛乳ですが、家人は朝のカフェオレにこの「低温殺菌」牛乳を愛飲しています。「全然味が違う」と家人は言います。
試してみればいいのでしょうが、今だに勇気がでなくてダメです。果たして私の嫌いな臭いが加熱臭かどうかも不明なままです。大変美味しい、と評判の紅茶専門店で「ロイヤルミルクティー」を頂いたことがありましたが、それももダメでした。そういえばいつぞや流行ったイチゴミルク飴も食べられなくはなかったですが、苦手でした。
もう少し暇になったら本格的に犯人探しをしてみようと思います。