無知の知

ほたるぶくろの日記

宇宙の中の地球

2013-01-27 12:06:59 | 生命科学
昨年の7月30日に書いた記事につながる話しがありましたので、紹介いたします。

(CNNニュースからの引用)

 独イエナ大学宇宙物理学研究所のラルフ・ノイホイザー氏らはこのほど、8世紀に地球に降り注いだガンマ線は、終末を迎えた星同士の衝突から発生した可能性があるとの論文を英王立天文学会の月刊誌に発表した。
ノイホイザー氏らによると、中性子星やブラックホール、白色わい星など終末を迎えた2つの星が衝突、合体し、ガンマ線が大量に放出される「ガンマ線バースト」と呼ばれる現象が発生。8世紀の地球にガンマ線が降り注いだという。
同氏らが研究を始めたのは、昨年、名古屋大学太陽地球環境研究所の三宅芙沙氏らの研究チームが発表した論文がきっかけだった。
三宅氏らは、西暦775年に形成された屋久杉の年輪から高レベルの炭素14とベリリウム10を測定したと発表。この時期に地球に強い宇宙線が降り注いでいた可能性を指摘した。
だが歴史資料を調べても、当時、超新星爆発や太陽フレアが見られたという記録は見つかっていない。この謎の解明を目指しノイホイザー氏らは研究。終末を迎えた小さな星同士の衝突ではガンマ線バーストは数秒間で終わり、可視光線を出さないとの考えを示した。
なお、ガンマ線の照射による生物の絶滅といった明らかな悪影響がみられなかったことから、星の衝突は地球から3000光年以上離れた場所で起きたと同氏らは推測する。
この研究が現代に与える示唆をノイホイザー氏に問うと、「銀河系内で高エネルギーを発する現象が起きても、我々はオゾン層で守られている」「電子機器や軌道上の衛星は、このようなバースト現象よりも太陽フレアから受けているリスクの方が大きい」と答えた。
(引用終わり)
宇宙からの影響というもののすごさを改めて感じます。775年に何が起こったのか。まさかその時期に原爆はありませんから、強烈な放射線が木に当ったとしますとそれはやはり宇宙から来たものと考えるしかありません。『ガンマ線バースト』か『太陽フレア』かの決着はまだついていないようですが、前者の可能性が高いと考えられているようです。
ここで示唆されている『終末を迎えた星同士の衝突』では可視光線を出さないというところが興味深い、といいますか恐ろしいところです。知らないうちにガンマ線が宇宙から照射され、オゾン層が破壊されたりガンマ線を浴びたりするのです。この『ガンマ線バースト』はある計算では1分に1回は起こっているといいます。ただ地球が大きな影響を受けるようなものは数十億年に一回程度ということです。いまから35億年前に一度生物の大絶滅がありましたが、これはまさしくこの『ガンマ線バースト』によるものであったといわれています。
太陽フレアにガンマ線バースト、地球自体の動き。われわれの与り知らぬ世界の営みを思うとき、改めてこうして生かされている奇跡を思います。
さらに、この大量の放射線が明らかになりますと大進化の原因についても想像することができます。染色体レベルの変化が起きるからです。しかもその変化を生殖細胞に起します。そろそろ確率的に同じようなことが起こってもおかしくない年代になっています。宇宙の物質循環の中の私たちなのですからそれに従うしかありません。怖いとかそのようなこともありません。一瞬で全てが決まることでしょう。
 

インフルエンザの流行

2013-01-23 13:05:45 | 日記

インフルエンザの流行が関東・中部地方と北九州を中心にみられています。その他の地方の方もこれからだと考え注意された方がよいと思います。赤ちゃんやお年寄りの感染を防ぐことはもちろん重要なのですが、体力が充実しているはずの10代の方たちにとっても注意が必要な感染症であることが少しずつわかってきています。以前問題になったインフルエンザ感染時の異常行動について、タミフルなどの薬剤を用いなくともインフルエンザ感染のみで起こるケースが多く観察されています。厚生労働省HPの「インフルエンザ」の項に『インフルエンザQ&A』というものがあります。そのなかに次のようなものがありました。

(引用始め)

Q.13: タミフル以外の抗インフルエンザウイルス薬を使用した場合にも異常行動(急に走り出す、ウロウロする等)は起こるのでしょうか? 医薬品を服用しない場合には起こらないのでしょうか?抗インフルエンザウイルス薬には、タミフルの他にリレンザ、ラピアクタ、イナビル、シンメトレル等の医薬品がありますが、これらの医薬品の服用後にも、急に走り出すなどの異常行動の発生が認められています。
また、インフルエンザにかかった時には、医薬品を何も服用していない場合や解熱剤のアセトアミノフェンだけを服用した後でも、同様の異常行動が現れることが報告されています。インフルエンザに罹患して、自宅において療養を行う場合には、突然走り出して2階から転落するなどの事故を防止するため医薬品の服用の有無にかかわらず、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。
インフルエンザ罹患に伴う異常行動の研究については、厚生労働省ホームページの下記アドレスに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002n1p8-att/2r9852000002nd92.pdf [417KB]
○異常行動の例
・突然立ち上がって部屋から出ようとする。
・興奮状態となり、手を広げて部屋を駆け回り、意味のわからないことを言う。
・興奮して窓を開けてベランダに出ようとする。
・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない。
・人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す。
・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る。
・突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする。
(引用終わり)
 
私自身も自分の子供で経験があります。こどもが9才のときでした。インフルエンザで熱が高いので、私も仕事を休み付き添っていました。うつろな目をした子供はぐったりとソファで横になり、私は横に腰掛けて本を読んでいました。熱は38.5℃くらいだったでしょうか。子供は頭を冷やすことさえいやがるので、熱が上がりきるまでは仕方がないとあきらめていました。
すると突然起き上がり、恐怖で目を見開きながら「あそこに!怖い怖い!」などとよくわからないことを叫びだしものすごい力で何かから逃げようとしました。私は必死で抱きとめて「大丈夫、大丈夫」と声をかけました。そのあと「頭が痛い~!」と言い出したので有無を言わさず頭と首(頸動脈)を冷やしました。あまり冷たくなくアイスノンにタオルを二重にまいたくらいです。「どう?」と声をかけると「気持ちいい」と答え普通の様子に戻っていました。その間10分くらいでしょうか。
子供もあの頃は身体が小さかったので私が抱きとめるくらいでなんとかなりました。ものすごい力でした。何かから必死に逃げようとしていました。インフルエンザウイルスが神経細胞に感染するなどして直接破壊することはないようです。熱性贍妄だったのかな、と思っていましたがそうでもないようです。このような症状の原因はまだよくわかっていないそうですので、親が気をつけてあげるしかなさそうです。大体発熱して1~2日にこのような症状が起こると言われていますので、患者を一人にしないよう気をつけたいと思います。

ライフ博士について

2013-01-15 16:41:45 | 生命科学

引き続きライフ博士の業績について考察していきます。前回はライフ博士の開発された『ユニバーサル・マイクロスコープ』と呼ばれる光学顕微鏡について書きました。今回はライフ博士のもう一つの重要な業績とされている、beam rayについて考えてみます。

 
ライフ博士の方法は特定の周波数の電磁波を照射することでウイルスなどの微生物やがん細胞を破壊することができる、というものです。例えばウイルス破壊特異的な波長というものを発見したとしています。この波長の電磁波を用いれば正常組織には影響を与えずにウイルスだけを破壊することができるという主張です。
 
ところで「電磁波の共鳴現象によって物質を破壊する」ことは可能なのでしょうか。音波や地震による振動の周期の共鳴現象が物質を破壊する現象はよく観察されます。しかし電磁波による共鳴現象による生物(特に常に動いている物体)の破壊がおこるのかどうか。音波や地震波は空気振動や地面の振動ですが、電磁波の物体への影響はそう単純ではありません。
 
教科書的には「物質に対して電磁波が照射されると、その物質に応じた波長で吸収、放出もしくは散乱が生じる」。その物質に応じた波長というのがいわゆるライフ博士が特定したとされる様々な治療用波長なのでしょう。ライフ博士の『beam ray』において彼自身が調べたとされる電磁波の波長などのデータはいわゆる査読の必要な論文になっていません。唯一ジェームス・ベア(James E. Bare)という方がライフ博士の残されたノートなどをもとに波長データを整理し、web上で公開しています。それをみますと例えばtetanus(破傷風菌)には234000Hzという数字が示されています。これの波長は大体1.2kmです。
 
ネット上を探しますと電磁波について学べる数多くのサイトがあります。今回大分お世話になりました。電磁波は波長によって性質が異なって見えるため、分けて考えるのがよいようです。身近なところから考えるならラジオの周波数あたりはMHz(メガヘルツ)の周波数で高周波と呼ばれます。この辺りは大体波長がヒトの身長。ラジオ電波よりもさらに周波数の低い低周波帯にはIHクッキングヒーターに使われている周波数帯があります。逆にラジオ電波よりも高い周波数のものはテレビ電波が50~500MHz、携帯電話やGPSがその上900MHz前後、その上が電子レンジやWi-Fi、レーダーなどで1GHz(ギガヘルツ)前後、そして10GHz~3THz(テラヘルツ)で衛星放送、と割り振られています。これらのラジオ波から衛星放送までの電磁波をまとめて高周波と呼んでいます。
 
これよりも高い周波数は遠赤外線から赤外線になってきます。いよいよ光の周波数です。赤外線から可視光線の領域が10^14~10^15Hzにあります。さらに紫外線が10^15~10^17
Hzにあります。ここまでの電磁波を非電離放射線とも呼び、それ以上のX線ガンマ線は電離放射線と呼びます。非電離放射線は波の性質が強く、電離放射線は粒子の性質が強く現れるということも重要な点です。
 
つまりライフ博士が特定した周波数というのは大体ラジオ波くらいのマイクロ波ということになります。中には数百Hzのものもあり、これはいわゆる低周波で、高圧伝線下の電磁波や家電製品の電力に伴って出る電磁波と同様のものです。
 
ところで電磁波の生物に対する影響はどの程度わかっているのでしょうか?紫外線より高い周波数、つまり短い波長の電離放射線に関しては非常に危険なものとして多くの研究がなされています。しかし逆に赤外線より長い波長のものに関しては生体への影響に関してよくわかっていないことが多いのです。WHOの国際がん研究機関(IARC)が2001年に「ファクト・シート」で「電磁波への暴露によって0.4マイクロテスラ以上を浴びると小児白血病発症の危険が倍になる。」と発表しました。国内での調査でも同様の結果が示されています。(電磁波の人体への影響ー超低周波と小児白血病
また2011年にIARCは「高周波電磁波により悪性脳腫瘍であるグリオーマ(神経膠腫)の発がんリスクが高まる(1.4~3.77倍)」とも報告しました。これはとくに携帯電話からの電磁波についての報告です。日本における見解は国立がんセンターが出しており、日本での調査では明確な関係は出ていないが、青少年の携帯電話の使用に関しては十分注意するべきだとの見解です。
 
さて、このような報告から細々と電磁波の生体に対する影響について研究が行われているようですが、例えばどうして高圧伝線からの低周波電磁波で小児白血病リスクが上昇するのか、携帯電話からの高周波電磁波でグリオーマリスクが上昇するのかそのメカニズムはわかっていません。このように最近の数十年では電磁波の生体へのむしろ悪影響について多くの報告があります。しかし、このことは電磁波が何らかの作用を生物に及ぼすことを示しています。それゆえライフ博士の装置があながち荒唐無稽とは言い切れないものがあります。またこの電磁波の影響とは果たしてがんの治療になっているのか?悪化させる可能性はないのか?ということさえも危惧されます。
 
治療成績についてはミルバンク・ジョンソン博士がデータを持っていたはずですが、やはり論文がありません。治癒率が100%という数字が書かれているサイトもありますが、ジョンソン博士の治療実験に関しては疑問が投げかけられていたようです。ある方は転移が発見され結局手術をした、ということもあったようです。ともあれ、今は様々な理由から一般的に電磁波の健康への影響が調べられなくてはならない状況になっています。いずれはライフ博士の研究も追試されることでしょう。ただ、現状ではあまりに経験に頼り過ぎており、治療と称するには危険すぎると思われます。もうしばらく静観している必要がありましょう。

顕微鏡について

2013-01-11 16:40:36 | 生命科学

先日お話しした顕微鏡の話しはある科学者の研究に関して考察するための準備として書きました。念頭にある科学者としては4人いるのですが、どなたも顕微鏡による血液や体液などの観察を通して独自の学説を立てられた方たちです。しかも通常の光学顕微鏡で観察できる細胞レベル(1~100μm(マイクロメーター))の観察ではなく、さらに小さな微生物やその他の物質を発見した、というところから始まっています。

とくにそのうちの最も初期の方ロイヤル・レイモンド・ライフ博士(Royal Raymond Rife)は1930年代に活躍されました。今回はこの方の仕事について少々調べましたのでまとめてみます。 1930年代といえばやっと電子顕微鏡が作られ始め、それによって数十nmのものが明確に視覚化されるようになった頃です。タバコモザイクウイルスが盛んに研究され、ウイルスの存在(細菌よりもさらに小さい微生物の存在)が明らかにされつつありました。人々の顕微鏡にかける情熱にはすごいものがあったのではないでしょうか。まもなく電子顕微鏡技術が確立しウイルス粒子の視覚化、動物細胞内のミトコンドリアなど細胞内小器官や核の様子、さらには染色体の様子などが写真に撮られるようになっていきました。
 
さて、ライフ博士は特別な光学顕微鏡で数十nm(ナノメーター)(=0.01~0.1μm)の大きさのものを観察できたと主張されました。某サイトの情報に『Nature』に論文がある、とありましたので調べましたが見つかりませんでした。そのかわりライフ博士とケンダール博士の共著記事を見つけました。
1)「Observation on bacillus typhosus in its filterable state」California and Western Medicine (1931),  vol.35, No.6, 409-411  
この記事はチフス菌を培養し、ある程度の目の細かさの(細菌をトラップできる程度のという意味)陶製フィルターで濾過すると、通常のペプトン培地では透明の動かない結晶しか見えないが、K-培地(共著者のケンダール博士(Kendall)が作成した培地)ではそれとは異なった形状の「生命体」(動いているように見える)が観察できた、というものです。この時の倍率は5千倍とあります。
さらにライフの顕微鏡をもちいたエドワード・ローゼナウ博士(Edward C. Rosenow)の報告をScience誌で見つけました。
2)「Observations with the Rife Microscope of Filter-Passing Forms of Microorganisms」
Science (26 August 1932) Vol. 76 no. 1965   pp. 192-193
DOI:10.1126/science.76.1965.192
ローゼナウ博士は「連鎖球菌はさまざまに形を変え、例えばウイルスくらいに小さく非染色性になり通常の顕微鏡観察から逃れるステージがある(Eberthella typhiとローゼナウ博士が名付けている)」と考えていたようで、ポリオ患者から採取した連鎖球菌の培養をおこなっていたようです。ポリオウイルスの存在は1909年に発見されていますが、ローゼナウ博士はまだポリオがポリオウイルス感染によって起こる疾病だとは信じていなかったのかもしれません。
 
彼は3種類の試料を用意していました。
①ポリオの患者さんから分離した連鎖球菌培養液の濾過したもの
②ポリオウイルスの濾過液
③ヘルペスウイルスの濾過液
そしてこれらの試料の中に自分の予想する連鎖球菌などの極小ステージがあると考えており、これらの中に脳炎を起こす共通の微生物として証明したいと思っていたのでしょう。
 
この記事の中でまずローゼナウ博士はいろいろな検体を通常の顕微鏡とライフの顕微鏡の両方で観察し、ライフの顕微鏡が間違いなく対象を拡大してみせていることを確認したと報告しています。このときの計算では約8千倍だったようです。
 
そしてこれらの試料をライフの顕微鏡で観察し「形態と大きさが似通っており微細な構造を持たない『球菌』と『双球菌』(記事の冒頭には"Eberthella typhi"とあります)を確認した」と書いています。さらに「したがってこれらの疾患を起こす病原体は広く信じられているような極微細のものではないかもしれない」と述べています。つまり"Eberthella typhi"は小さい故に見えないのではなく染色されないために見えない。ライフの顕微鏡では位相差を利用するので非染色性のものが視覚化されるので見えたのだとしています。
 
ポリオウイルスは動物ウイルスとしてはかなり早い時期に発見されたウイルスです。しかし動物個体を用いないウイルス培養法は1949年までありませんでした。1932年といいますと時期的に試験管内でのウイルス培養法の開発研究が盛んに行われていた時期です。またローゼナウ博士は消化管系の細菌の研究者であり、ポリオウイルスが経口で感染することから、患者さんから採取した細菌を調べていたのかもしれません。ウイルスは細菌に感染して増殖するものがありますから、そう考えてもおかしくはありません。しかし彼は連鎖球菌の変化したものなどが、疾病を起こしている可能性もあると考えライフ博士の顕微鏡で観察したのでしょう。
 
ともかくライフ博士もローゼナウ博士も何らかの粒子をライフの顕微鏡下で観察していました。
a)細菌を通さない程度の目の粗さの濾過器の濾過液中にでてくる。5~8千倍で観察できる。
b)通常のペプトン培養液ではできないがK-mediumではできる。
c)非染色性である。
d)運動性である。
上記の記事や様々のサイトの情報から考えるに、かれらは何らかの結晶を観察していたのではないかと推察いたします。とくに1)の記事にあります「目の細かい濾過器の濾過液を新しいK-medium中に入れるとまた『小さな物体』は増えてきた。しかしペプトン培養液では増えてこなかった。」という記述が気になります。b)をかれらは栄養要求性と解釈したようですが、それは結晶のでき易さとも解釈できます。『小さな物体』がチフス菌に感染するファージだとしても、ファージは自己増殖できませんのでこの事実に反します。またd)の運動性についてですが、微小なものが溶液中にあるとどうしてもブラウン運動をします。しかも紫外線を当てて観察しているので溶液の温度は局所的に上がっており、対流が生じています。動きが見えるからといって能動的に動いているとは限らないのです。2)の記事のなかのローゼナウ博士が用意した3種類の溶液に同様のものを観たというのが最も示したかったことだと考えます。しかし正確にはこの記事は科学論文ではないので、見えたものの写真などの十分な証拠が示されていません。従ってそれが何であったのかは予想がつきません。現代の知識からすれば①からは何も見えず②③にはなんらかの粒子が見えることが期待されます。①~③の顕微鏡写真などの重要証拠があれば科学論文として発表されたのではないでしょうか。
 
さて、だからといってライフ博士の顕微鏡が嘘であったとはおもいません。ローゼナウ博士の記述からおそらく微分干渉を利用し染色がなくとも透明な物体がはっきりと見えるものであったと思います。ライフ博士の顕微鏡がローゼナウ博士の誤った仮説の検証に用いられたということは不運なことでありました。
 
Beam Rayについては次に続きます。

日本のお正月

2013-01-08 16:54:39 | 日記
お正月の日本は今でもやはり静かで厳かな時間が流れます。心なしか最近のクリスマスは以前に比べ静かになったような気がします。若い方たちを中心に西洋文化の呪縛から自由になっているのかもしれないと思います。先日も久しぶりに若い方の多い街に出かけましたが、大正時代くらいのモチーフをあしらった小物などを持っている方が結構いらっしゃいました。表層的とはいえ日本の文化が受け継がれている一面をみることができるのはうれしいことです。
 
お正月は日本の社会で唯一真に宗教的な国民的行事であるように思います。そしてなんとなく神社仏閣にお参りをします。しかし面白いことにいわゆるお祭りとは異なって宗教的熱狂とは無縁ではあります。お正月は古来お盆とともに先祖をお祭りする行事であったようです。仏教の伝来とともにこの行事はお盆が中心になり、お正月は歳神さまをお迎えする行事ということになっていったと考えられています。そんなことから祖霊とともに歳神さまをお迎えする静かな儀式として日本人の深層意識に定着しているのかもしれません。
 
数え年を重んじていたときは文字通り年取りであり、一年を無事に生き延びることができたことを寿ぐ意味合いもあったでしょう。現在の私たちにとって表面的には「お正月は年が改まる」ということの他にはあまり意味もありません。それなのにそれがこんなにも人々を特別な思いに誘うのです。この国の人々が知らず知らずなんとなく大変にありがたい厳粛なことであるとしてお正月を迎えているのは心強いことです。
 
私もまたそんな人々のひとりです。意味もよくわからないまま、しかし何か大変に厳粛な思いで一杯になります。これは子どもの頃からずっとです。私の子どもの頃は無神論が全盛期でありましたし、両親は宗教とは無縁でありましたからどこにもお参りにさえ行きませんでした。どちらかと言えば正しい無宗教無神論で「人間神頼みしているようではいかん、自分で何とかしなくては」「お化けより生きてる人間の方が余程恐ろしい」という人たちでした。それはそれで良かったのだと思います。法事なるものもあまり縁がなく、かろうじてお葬式でお経に接するだけでした。
 
若いときには宗教一般としてキリスト教、仏教の歴史を調べたりもしましたが、深入りすることはなく今日に至りました。神道に関してはやはり先の大戦との関連で国家神道=神道の視点からの文献などに接していたと思います。まことに標準的な日本の宗教哲学環境を生きてきました。しかし心の中に何か厳粛な存在の在ることをずっと感じていました。多くの日本の方はこんな感じなのではないでしょうか。
 
日本は宗教的に曖昧な国である、とは無宗教の国である、と同義ではありません。既成宗教教団とは無縁になった人々の国ではあるかもしれませんが、心の中の神様を感じ取っている方が多いのだと思います。自然の美を観るたびに自神が呼応し何かを思いだすことができ、良心を育てることができる。そんな人々が多く暮らす国なのだと思います。有り難いことです。