無知の知

ほたるぶくろの日記

しだれ梅

2018-02-25 17:46:13 | 日記

今まで全く気づかなかったです。

うちのごく近くのお寺さんにこんな立派なしだれ梅が。。。今日たまたま通りがかり、御門からこれが見えたので中に入れて頂きました。

しだれ梅はなかなか珍しいです。しだれ桜は結構見かけますが。

今年は寒い日々が続いていて、日が長くなっているのはわかるのですが、春を遠くに感じていました。最近梅が咲き始めてやっと春が近いことを感じます。

今年は春が待ち遠しいです。

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主張する内容が問題

2018-02-17 19:12:57 | 日記

当たり前のことなので、敢えて文章にするのもどうか、と思ったりもするのですが、やっぱり考えをまとめておくことも大事かな、と思い書いてみます。

前回、上手に意見を主張する練習をするべき、ということを書きました。

ところで主張するべき『意見』とはどういうもの? ということを今回書こうと思います。

「自己」主張なのか

「自分(の意見)」の主張なのか

ここを誤解すると著しく品性を欠くことになります。たとえ意見主張の技術が優れているとしても関係なし。いや技術が優れているとかえってさらに印象が悪くなるかもしれません。

「自己」主張・・・・・個人的な意見の表明。ありとあらゆる分野についての表現がありうる。個人の自由に属するもの。

「自分(の意見)」の主張・・・・・ある課題に対する(社会的問題、例えば仕事であることが殆ど)意見の表明。ディベートなどは主にこれの技術を磨く練習。

一般的に言って、どちらの主張もTPOに応じてなされるべきです。これは真っ当な大人なら、誰でも分かっているはずのことです。また両者の区分についても明快なはずです。

仕事、趣味のクラブなどで、人が集って活動をする場合、この区分、TPOの適正化はとても重要です。

仕事場や趣味の活動で大概問題が生じるのは、「自分(の意見)」の主張を装って「自己」主張を繰り返す方が存在する場合です。

「自己」主張も重要で、これが上手にできませんと人間としてやっていられなくなります。個性の圧迫にもなって創造性が削がれます。問題はTPOです。日本の社会もかなり寛容になっていますし、家族内の関係性もこれに対してどのくらい寛容であり得るか、あるいは許容できるか、で良くなったり悪くなったりするでしょう。

仕事場では明確に目的があります。遂行されるべき仕事があり、その遂行に関する「自分(の意見)」の主張は大変重要なことです。喧々諤々でおこなわれるべきであり、落としどころをみつけ、前に進める。これの繰り返しです。

ところが、ここに公と関係ない「自己」主張を持ち込むと場は混乱します。しかし、ありがちなトラブルです。

仕事場では人間関係は重要です。ただ、ここがまた悩ましいのですが、仕事のための人間関係です。あくまでも。冷静に考えないといけません。もちろん、大変親しくなって、個人的なお友達になることもあります。しかし仕事をする際にはそこは切り離して頂かなくては困ります。

コミュニケーションに自信のある方は往々にして、この仕事のための人間関係と個人的人間関係の垣根を敢えて曖昧にし、政治的な場の操作を試みます。それも仕事を推進するために使うならば、百歩譲って「あり」かもしれません。ただ、それが「自分(の意見)」の主張を装った「自己」主張を通すためであったりします。

このパターンは大学の教授先生がお雇いになる、素性のよくわからない『秘書』にありがちな状況です。私も学生のときにこのような方を何人も観ました。他の組織でもこのような方がいるようです。

良いことは一つもありません。その集団の品位が落ち、仕事の質が落ち、人々が離れて行きます。上記の私が観察したこのような状況の全てで、成功した例はありません。問題が大きくなり、崩壊しました。

さて、何をいまさらこんなことを書こうとしているのか。

日本の社会のあちこちにある、とても非効率的で非生産的な組織の状況はなぜなのか。それを考えているうちに、結局は上記の問題であることが多いと気づいたからです。

問題は芽のうちに潰すべきです。一番重要なのは「公私の区別」これに尽きます。

 

 


意見を表明する練習

2018-02-12 12:41:01 | 日記

小学校、中学校、高等学校でやった方がいいこと。

意見を表明する練習

プレゼンテーションの練習といってもいいかもしれません。生まれつき、とても上手な人もいますが、どうも苦手な人が多いのが日本。

言挙げせず、なんて言うのが日本の文化のなかで美徳とされてきたのもあって、

「必要なときに必要な意見を正しく表明する技術」

がきちんと教育されるなり、技術として伝達されていないのは問題です。日本の多くの方は意見表明のやり方がとても下手です。私もむちゃくちゃ下手。あるとき、これはやっぱり技術かも、と気づいてかなり今は改善されたとは思います。それでも本当にヘタクソです。

洋服のTPOと同様のことだと思います。時、場所、機会(いわゆる空気ともいえるかも)にふさわしい形で自分の意見を表現する力は人生で最も重要な能力のひとつです。世界の人たちと交流するためだけでなく、日本のなかの様々な制度などを修正して行く際にもこの技術は非常に重要です。心情だけに訴えるのは危険なやり方ですし、計算のない発言や行動は無謀。状況の分析もできないのは困ります。

議論になるとさらに状況は悪化します。言われた言葉の直接的な意味、隠された意味、様々な可能性に翻弄され、頭に血が上った状態で十分な吟味もなく言葉を発して大失敗、なんて経験は私だけでしょうか。

マニュアルは必要ないでしょう。日本の方々は真面目すぎるので、マニュアルなり技術本が出るとそれによって型にはまった例文集の塊のやりとりになってしまいそうです。重要なのはTPOを勘案して意見表明ができることです。ひたすらの練習で大丈夫なのではないでしょうか。もちろん、実社会じゃなくて、ですよ。だから学校でやっていただけたらな、と思うのです。

自分の伝えたいことがどのくらい目の前の方々に(いろいろな方の可能性がありますね)伝わっているのかを冷静に測りながら表現を修正する。それはもう習得するものでしょう。

子どもが学校の授業の一環で「ディベート」をやっているようですが、結構なことです。何度もやって、場慣れし、何かを自ら習得する時間として活用して欲しいと思っています。


上滑りな議論

2018-02-09 06:57:58 | 日記

今の日本の科学業界は酷い状況です。

そんな中、先週第一生命がやったというアンケートで小学生男子のなりたい職業1位が学者・博士だったという、朗報(?)が。。。

まあ、外から見た場合、学者、博士といった職業はなかなか素敵に見える、ということでしょう。そのあと野球選手、サッカー選手と続きます。

その一方で、博士課程に進む若い人の人数は激減しています。日本の若い方にとって博士号を取得することは全く魅力がないのです。

それが何故なのか。

「今の若い人はチャレンジ精神がない。」「内向き」

などと、学術界から聞こえてくるのですが、今時、大学院、ポスドクで留学して、なにかいいことありますか?

現在70代以降の方はご自身が米国留学されていた頃は1ドル=360円の時代です。向こうでドルで給料をもらうとそれはかなりの高給でした。しかも広いところに住めて、確実に暮らし向きは日本にいたときよりよかったのです。

今は、留学すると、赤字です。日本の暮らし向きもなかなか良いので、欧米の住環境がもの凄く良いわけではありません。

そして帰国しようとしても、職がない!

安定した職種は全てずっと国内にいた方達に占められていて、空きがない。新しくできた職種は全て任期付。研究内容の自由もない。他人の仕事のお手伝い。終わりですね。

恐ろしい現実です。

若い方は十分にチャレンジ精神もグローバル感覚も持っていますよ。ただ、現状の選択肢として博士課程は「なし」という冷静な判断をしているだけです。

若い人に対して無責任な「煽り」を繰り返すのはいい加減やめにして頂きたい。


終わらせると若返る!

2018-02-05 07:08:42 | 生命科学

うっかりしていたら、もう2月です。

今年はもう少し役に立ちそうなサイエンスネタを紹介したい、と決意表明しました。また、今年は「何かを終わらせること」について考えたい、とも書きました。

するとなんと早速その二つの課題にぴったりの話題が出てきました。しかも全くの偶然にこれを見つけました。心のどこかで探していると、ふと見つかるんですね。若いときにはよくありましたが、最近ではほんと久しぶりのことでした。何だか若返ったようで(?)うれしくなりました。

それはさておき、早速その話題を紹介します。

昨年10月のNatureのNews Featureに下記のニュースがありました。

『To stay young, kill zombie cells』 in Nature 550: 448, 2017



Killing off cells that refuse to die on their own has proved a powerful anti-ageing strategy in mice. Now it's about to be tested in humans.



Megan Scudellari

(仮訳)

『若さを保つには、ゾンビ細胞を除去せよ』 ネイチャー550巻、448ページ 2017年

それ自身で死のうとしない細胞を死滅させることは、強力なアンチエイジング戦略であることがマウスで証明された。さて、人間ではどうなのか。

ミーガン スカデラリ

(ここまで)

見出しだけの翻訳です。全文はかなり長くなりますので、要点を以下に説明します。

Jan van DeursenらはBUBR1という染色体分配と細胞分裂の時期を制御するたんぱく質の変異マウスを2000年に作製しました。人間でがん等を多発する遺伝的症候群の原因遺伝子です。そこで、これの発現量を低くなるように遺伝子を改変したマウスを造り、この病気のモデルマウスを作ろうとしたのでした。ところがこのマウスはがんを作らず早い時期の老化を示しました。

(Baker DJ, et al. BubR1 insufficiency causes early onset of aging-associated phenotypes and infertility in mice. Nature Genet. 2004;36:744–749)

そしてその老化したマウスをよく観察すると傷害を受けて分裂することができない、でもアポトーシス(自爆)もしない細胞=セネッセンスに陥った細胞が組織に大量に溜まっていることが分かったのです。この不活性な細胞をこの記事では「ゾンビ細胞」と呼んでいます。

「ゾンビ細胞」=セネッセンスに陥った細胞というものは単に増殖をしなくなってじっとしている細胞ではなく、どうやらいろいろなサイトカインを分泌しているらしく、生物学的には活発に活動しているようなのです。また、ゾンビ細胞の周辺ではそれが分泌したサイトカインによって局地的な炎症反応などが起こっており、それが全身状況へまた影響し、個体の老化を進めているらしいのです。

そこで、この「ゾンビ細胞」を選択的に死滅させることができればひょっとして老化が止まるのでは?という期待が出てきたのです。

最近この「ゾンビ細胞」は組織ごとにある特徴があることが見つかりました。そしてそれをうまく応用したセノライト(一般名、最近の造語、セネッセンス細胞を溶解する物質、の意味か)と名付けられた薬剤の開発に成功したそうです。これを早速老化を示しているモデルマウスに投与し、セネッセンスに陥った細胞を除いてみると、、、なんと、老化していた臓器が若返り、機能が改善されたのだそうです。

そして、この選択的に死滅させるための特徴は臓器ごとに異なるらしく、それぞれに異なった薬剤が必要らしい。

そんなことで製薬会社の一部は非常に興味を持っているらしい。非常にシンプルに過ぎる考えではありますが、うまくすると若返りの薬ができるかも、ということだからです。さらに一種類ではなく臓器ごとに異なった薬が必要、となれば製薬会社が興味を持つのもよくわかります。

ただ、もちろんそう楽観的な意見だけではなく、人への応用に関してはかなり難しいのではないか、という意見も多いようですが。

以上が記事の要約。

なんといいますか、これは多細胞生物の個体という細胞集団社会の老化、の話しなわけですが、人間社会そのものの老化現象の本質を顕しているようでもあって、大変興味深い。ゾンビ細胞ならぬ、本当のゾンビが社会のあちこちにいて、局地的な炎症(トラブル)を起こし、それがまた全身(社会全体)状況に影響している、など、身につまされます。