無知の知

ほたるぶくろの日記

ハーブティーの想い出

2017-08-26 09:27:23 | 日記

今週の東京は 「天然サウナ」でした。皆さん十分に蒸されてぐったりしています。

私もそうです。お陰さまで、お腹の調子が少々よくない。食欲自体は落ちてないのですが、疲労感があります。

 

こんなときに憶い出すのがヨーロッパで頂いたミントティー。とくにフランスのエレファント社のミントティーです。ミントティーも数ある中で一番印象に残っている香りです。スペアミントの甘さのあるすっとした良い香りで、素晴らしいものでした。

その後そのヨーロッパの国で探しても結局見つからず、なんでだろう、と思っているうちに帰国。日本でもずっと探しているのですが、ない。日本でカルディができたときに、もしかして! と勢い込んで探しに行ったのですが、なかった。今もときどきチェックしますが、やっぱりない。

調べるとどうやらフランス限定(?)らしい。フランスでは普通にスーパーで売られているとても庶民的な商品らしいのですが。。。

いまどきどういう理由があって日本で買えないのか、とっても不思議です。あんなに美味しいハーブティーなのに。ミントティーだけではなくその他にもいろんなハーブティのラインナップがあって魅力的なんです。

紅茶の輸入に携わっている方、ぜひともエレファント社のハーブティーを日本にも輸入してください。私、宣伝させて頂きます!!!


お盆

2017-08-20 11:10:07 | 日記

今年は年明けから訃報が相次ぎました。

1月にはごく近しい方が他界し、春先にも別の親戚と知り合いのお父様、さらに仕事上での知り合いが、そして暑くなってきてからは若い知り合いが鬼籍に入りました。

そのようなことで今年は初盆があちこちにありました。

そのうちの一件はほぼお盆の行事を主催する立場、ということで準備も含め、今年はお盆の時期に夏休みを頂きました。それに先立って、その土地その土地のお盆の行事があるようですし、郷に入れば郷に従え、ということで、あれだこれだ、と準備の話しをふんふんと聞いていたのですが、どうも腑に落ちないことが。。

ご近所の方が言われるには14日夕方に提灯を持ってお墓に行って一つだけ残して火を入れて帰ってくるらしい、との話しが伝わってきました。

はい???

「お盆は本来13〜15日で、お中日の14日にお坊さんにお経を上げてもらい、御先祖様を含め皆さんで食事をするんですよね。そして15日にお送りするはず。14日にお墓にお送りしちゃうの?」

ちょっと質問を挟むと

「さて、なんででしょうかね〜」

理屈としては「送り火」なんですから、お墓に提灯を持って行くのは15日か16日なんではないでしょうか。皆で楽しく過ごすべき14日にお墓にお送りする、というのはよくわからないです。

結局14日にお坊さんが見えたら聞いてみますか、ということでその場は納まりました。

お盆行事の主要な筋書きとは、「迎え火」であの世から帰ってこられる御先祖樣方をお迎えし、自宅で楽しく過ごして頂き、お坊さんに供養のためのお経を上げてもらい、「送り火」とともにあの世へお送りする、ということなのですが、実際にそのプロセスに付随するこまごまとした所作や準備の品々は宗派、地方、家によって様々です。

 「迎え火」の火はいろいろな話しを総合するに、「明かり」の意味合いが強いようです。12日か13日の夕方にお墓に行き、提灯を灯して自宅まで来る。それが無理なら自宅の軒先に家紋のついた白い提灯を掲げる。したがって、あまり火に拘る必要もないかもしれません。今回はともかく玄関先の提灯で良し、とすることで決着しました。

その後13日の夕方にお墓へ掃除もかねて行ってみるとお墓から提灯を下げて(火は入っていませんでした)帰ってくる方に会いました。竹竿に盆提灯を3つ下げておられました。あら、今でもやっている方もいるんですね、なんて話しをしました。

と言うわけで14日にはお坊さんが見え、お経のごく一部と和讃が唱えられ、集まった親族がお焼香し、さてお坊さんの講話が。。。

と、お坊さんもどこの家でもさんざん訊ねられるとみえて、お盆にまつわる準備やしきたりなどの話しをこちらが訊く前に話し始めました。

「浄土真宗では常にご供養しておりますので、お盆だからといって特別な提灯や準備は一切必要ありません。まあ、あればあったで雰囲気もよいですし、あったっていい訳ですが、なくてはダメとかそういうことはありません。」

ときっぱり。

皆さん 「え〜!?」

いろいろ教えてくださったご近所さんも同じお寺の檀家さん。

どういうこと?

この辺りの方は皆、浄土真宗とのことだったんですが、なんだかもっと古い習俗が残っているようです。つまり浄土真宗になったのはあまり遠くない過去なのではないでしょうか。実際このあたりの土地の大名は浄土真宗を禁じていた、とあります。ということは表立って浄土真宗の門徒となったのは少なくとも明治以降でしょう。

近い親族に亡くなった方などなければお葬式もお盆もあまり関心を持たないで過ごします。私の母のときもそうでしたが、母の兄弟姉妹たちも自分たちの両親が50年ほど前に若くして亡くなって以来、身近なお葬式は出さなかったのでした。したがって、大体どの宗派でお葬式をするかに始まって、お盆はどうする、などなど分からないことだらけでした。

私が子どもの頃はお盆の行事などしたことはありませんでした。精霊棚も用意しませんでしたし、だいたい仏壇もありませんでした。うちの母は結局そういったことは一切やらなかったのです。いろいろ宗教関係ではもめ事もあったようで、大嫌いだったようです。

私はまあ、一般常識としてこんな感じ、というイメージは持っていたわけですが、母が亡くなって初めていわゆる法事を営んだことになります。

今回は主人の方の法事で、こちらも主人の祖父が亡くなって以来とのことで、40年近く死にまつわる行事はなかったということです。お仏壇一式はかなり前のものがあって、お線香を寝かせた形ではありますが、ご供養が行われていました。「先祖代々之霊位」なる位牌もあります。ただ、こちらもあまり宗教的な方達ではありませんで、昔からの習慣程度に先祖供養をしてきた、ということです。私たちもこちらにうかがえば仏壇にお線香を供えてきました。

さて、そんなこんなで結局、理屈に従って提灯をお墓へ持って行くのは15日にしましょう、ということになりました。14日は家族でお墓に行って、片付けで大量に発見された様々な種類の線香、例えば渦巻き型、柄のついた長いものなど中国のお香など仏壇で焚くにはどう?と思われるものを持って行って大量に焚きました。中国の道教寺院で用いられるお線香はすごい煙です。さすが、道教。

そして、15日は盆提灯を持って行き、ろうそくの灯を灯しました。同時にまたまた大量の線香も焚き、煙と明かりでお送りしました。

少なくともこの世の私たちはなんとなく満足したお盆だったのですが、あの世の方々にも喜んで頂けたのでしょうか。毎日の供養はもちろんですが、たまにはこういう大きな行事もいいですね。とくに盆提灯は私の好きなものの一つです。


アジュバンドについて

2017-08-06 20:17:47 | 生命科学

最近知ったのがASO3アジュバンドの副作用問題です。ある講演会でこのことを知りました。

ナルコレプシーという病気をご存知でしょうか?日中、突然に脱力し寝入ってしまう、という病気です。そして眠りから覚めればまた普通に活動できます。
この患者さんは高い割合で情動脱力発作を伴っています。何かとても面白かったり、楽しかったり、というポジティブな強い情動がわき起こると身体中の力が抜けてしまう、という発作です。この場合意識はしっかりしています。
また、患者さんはレム睡眠(夢を観ている眠り)からノンレム睡眠への移行時に目を覚ましてしまうことが多く、その際に「金縛り」を体験することになります。このような状況から眠りが浅くなりがちで、夢も悪夢が多いとされています。

この疾患の最も根本的な病因は「オレキシン」という物質(タンパク質)の欠損であることが証明されています。ただし、患者さんの全てにこの遺伝子欠損や遺伝子変異がある必要はありません。オレキシンを産生する細胞が無くなっていたり、機能しなくなっている場合も同じ症状が出ます。またオレキシンを受け取る受容体(レセプター)の遺伝子が変異を受けている場合、その他オレキシンのシグナル伝達の経路上にある全ての機能の異常で同様の症状がでます。

一方、ナルコレプシーは以前から、次のことが分かっていました。1)主要組織適合抗原のHLA-DR2型が陽性であることと強くリンクしている。2)日本の患者さんでは殆どの場合HLA-DQ1型が陽性であること。このことはナルコレプシーが自己免疫疾患である可能性を強く示唆しています。しかし、これまでその証拠となる知見は殆どありませんでした。

さてそのような状況の中、2012年に下記の論文が報告され、欧米ではちょっとした騒ぎになったようです。ただ、日本ではまったく報道されなかったと思います。少なくとも私は寡聞にして知りませんでした。

AS03 Adjuvanted AH1N1 Vaccine Associated with an Abrupt Increase in the Incidence of Childhood Narcolepsy in Finland
(仮約:AS03アジュバンド添加AH1N1ワクチンはフィンランドで小児期のナルコレプシー発症率が突然増加した事象に関連していた)
Hanna Nohynek1*, Jukka Jokinen1, Markku Partinen2, Outi Vaarala1, Turkka Kirjavainen3,Jonas Sundman1, Sari-Leena Himanen4, Christer Hublin5, Ilkka Julkunen6,Pa ̈ivi Olse ́n7, Outi Saarenpa ̈a ̈-Heikkila ̈8, Terhi Kilpi1
PLoS ONE 7(3): e33536. doi:10.1371/journal.pone.0033536

この論文もオープンとなっていますので、PDFで全文を閲覧できます。以下はアブストラクトの仮訳です。
(仮訳)
背景:ナルコレプシーは慢性睡眠障害であり、強い遺伝的素因を伴う。日中の極度に強い眠気とカタプレキシー(情動脱力発作)をおこす。インフルエンザの世界的流行がおこり、AS03アジュバンド添加のインフルエンザワクチン接種が行われた直後、フィンランドで小児のナルコレプシー患者の急激な増加がみられた。この患者の増加は他の年齢層では観察されなかった。
方法:後ろ向きのコホート研究。2009年1月1日から2010年12月31日の期間、後ろ向きにフィンランド在住の1991年から2005年12月31日までに生まれた全ての子どもたちの群を追跡調査した。これらの全小児のワクチン接種のデータはプライマリヘルスケアデータベースから入手した。全ての新規症例はナルコレプシーのICD-10コードが適用されており、医療記録は二人の専門家によってレビューされ、Brighton(ブライトン)標準化症例定義に基づいたナルコレプシー症例分類がなされた。ナルコレプシーの発症は過剰な日中の眠気のため最初に診療を受けた時、と定義した。初期のフォローアップ期間はワクチン接種後のナルコレプシーにメディアが注目する前日の2010年8月15日までで閉め切られた。
知見:対象群のワクチン接種は75%であった。初期の解析においてはナルコレプシー確定症例の67ケースのうち46症例はワクチン接種を受けており、7症例は非接種であった。ナルコレプシーの発症率はワクチン非接種では0.7/100,000人/年に対し、接種した場合は9.0であり、12.7倍の発症率(95%信頼度範囲は6.1-30.8)であった。ナルコレプシー発症のワクチン起因性リスクは4歳から19歳で1,600あたり1人(95%信頼度範囲は13,000-21,000人に1人)
結論:フィンランドにおける2009-2010年のインフルエンザ流行時におけるインフルエンザワクチンは4歳から19歳のナルコレプシー発症に関係している。この知見が他の範疇の人々でも観られるのかどうか、また背後にある免疫学的メカニズムについてはさらなる研究が必要である。今後このアジュバンド添加ワクチンの使用について結論を出す前に、特別な認可を受けたアジュバンドの関与についてさらなる研究が必要である。
(以上)

私が行ったシンポジウムは睡眠に関するものだったのですが、ナルコレプシーの患者さんの脳検体では、オレキシン産生細胞が全く無くなっていることがわかり、どうやらI型糖尿病の膵臓のβ細胞のように細胞自体がいなくなって発症するらしいことがわかってきたようです。つまり自己免疫疾患である可能性が出てきたということです。このことは、特殊な主要組織適合抗原とナルコレプシーが強くリンクすることを考え合わせますと意味深いことです。

その講演会では、ナルコレプシーの自己免疫起因説の傍証としてこの事象が紹介されていました。

この中で重要なのは新規アジュバンドAS03添加のワクチンという点です。あのときに多種のワクチンが作られたのですが、このAS03アジュバンドは新規のもので、まだ安全性の確認が十分ではなかったのです。ただ、TLRに対しての働きかけがあることなどからアジュバンドとしての性能がよい、高い確率で免疫を付けることができる、とされていました。しかし、それはどうやら諸刃の刃であったようです。

免疫系を賦活化した結果、一部の免疫細胞は暴走し、重要な細胞まで破壊してしまったということです。

免疫系に介入する治療は非常に難しいものです。慎重に行われないと何が起こるか分からない危険性があるようです。ちなみに問題になっている子宮頸がんワクチンのアジュバンドはAS04で、今回のAS03とはまた異なるものですが、やはり、これもTLRへ働きかけるものです。神経系の細胞が何らかの影響を受けた可能性もあるでしょう。ワクチン再開に際しては慎重な研究が望まれるところです。