無知の知

ほたるぶくろの日記

甘味料について

2013-07-21 12:45:34 | 生命科学

先日、人口甘味料がアレルギーを起していることが報道されていました。

アレルゲンがよくわからないアレルギー症状の場合、これを疑う必要がありそうです。「低カロリー」をうたった商品にはすべて砂糖の代わりになんらかの甘味料が使われています。人の代謝経路では利用できないが化学分子的には糖、というものがあります。これは人の舌にある甘みを感じる味蕾細胞のレセプターには結合するのでしょう。そのため、甘みを感じることはできます。しかし、糖の消化の過程では利用されないので、甘いがカロリーはゼロ、ということになります。しかし、このような物質が免疫的に問題をおこすことが明らかになってきました。糖分のとり過ぎによる害は防げても、アレルギーの危険を生じることになりました。

ところでこのような現象は人工的な化学物質だから起こるのでしょうか?一部にはアレルギーを起すのは人間にとって出会ったことのない異物であるからだ、という議論があります。しかし、ほとんどのアレルギーが天然由来成分で起こっていることを考えたとき、その議論は誤りであるとわかります。

ある石けんが問題になりました。小麦の加水分解成分を含有するもので、多くの方が小麦アレルギーを発症しました。これも天然成分で起こったアレルギーです。確かに水解成分であるので人工的に作り出されたと言えないこともあります。しかし、その石けんでは天然成分をうたっていたはずです。

先の甘味料にしても、たとえ天然に存在する物質でも通常はあまり触れることのない成分である場合、砂糖と同様の使い方をすれば身体が異物排除の対策スイッチを入れることでしょう。とり過ぎ、常用は避けるのがよろしいのではと思います。


化粧品による白班について

2013-07-14 10:02:58 | 生命科学

 先日某化粧品会社の製品が自主回収になりました。この原因となっている物質はロドデノール。製品のHPでは「メグスリノキなど様々な植物にも含まれる天然由来の成分」と紹介されています。チロシナーゼに結合してメラニン色素の生成を抑制する物質です。この作用機序からは肌が斑に白くなるという結果は想像できなかったかもしれません。私も意外に思います。

 使用を中止することによって肌は元に戻る場合が約1/3症例だそうですが、その他の症例についても長期的には戻る可能性があると思われます。チロシナーゼを産生しメラニン色素を生成しているメラノサイトがまだ皮膚に存在しているからです。

 白班になる、のは皮膚のある部分のメラノサイトが全くあるいは非常に少量のメラニン色素しか産生しなくなっている、ためであると考えられます。疑問は2点。

1)なぜ「ある部分」なのか。

2)なぜ生成されなくなるのか。

2)に関してはロドデノールが細胞内で分解されず蓄積されている可能性を示しています。このことは1)の原因についてもつながっていきます。メラノサイトの幹細胞にロドデノールが蓄積されたとすれば、その幹細胞から分裂増殖、分化したメラノサイトは初めからメラニン色素を生成できなくなっています。そのようなメラノサイトは幹細胞周辺にひろがるでしょう。白班として観察されることになります。

 なぜ症状のでた人とでなかった人がいるのか。それは分解の速度が個人によって異なるからでしょう。酵素活性や酵素の量などには個人差があります。つまり現在白班がでている方も時間の経過とともに回復すると思われます。あまりあれこれ治療するよりも時間の経過を待つのが最善と思います。