さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】すばらしい人体

2022-01-18 23:58:53 | 読書録

山本健人/ダイヤモンド社

本文が366ページもある分厚い本だが、やっと読み終わった。

とても面白かった。特に医学の歴史のところが面白かった。とても盛り沢山なので、どこからコメントして良いかわからないくらいだが、特に印象に残ったのが、ロベルト・コッホ(1843−1910)の話。かつての人類は、病気の原因は体液の乱れとか、有毒な瘴気といった実態の確認できないものを病気の原因と考えていたが、17世紀には目に見えない微生物の存在が知られるようになった。でもそれが病気の原因だと理解されるまでにまだまだ時間がかかったのだ。

コッホは病気にかかった人の組織を顕微鏡で観察し、病気に特徴的な細菌を次々と見つけ出すとともに、寒天培地を発明し、一種類の細菌を培養して増やし、それを動物に感染させ、病気をひき起こすかどうかを確認することによって、細菌が病気の原因になることを示した。コッホの弟子が北里柴三郎である。サイキンが病気を起こすことがわかったのが、こんなサイキンのことだなんて・・・。

面白いのが、コッホが最近を観察するにあたり、色素を使って細菌を染め分ける方法を編み出していた。コッホの弟子のエールリヒは、化学物質で特定の細菌を染められるのであれば、化学物質で特定の細菌を殺すこともできるのでは・・と考え、日本の秦佐八郎とともに梅毒の原因菌を殺す抗菌薬を作り出したのだと。

特定の細菌を染める話が、特定の細菌を殺す話につながっているのが面白い。

痛み止めの話では、先日「アンという名の少女3」にでてきた柳の葉の鎮痛作用の研究から、アスピリンが生み出されるまでの話が詳しく書かれており、改めて、興味深く読んだ。

最近は血液をそのまま輸血するケースはほとんどなく、各成分別の血液製剤を作り、それを投与するのだとか、製剤に放射線照射を行い、白血球が増殖する力を奪雨ことにより、投与された時に、リンパ球が増殖して攻撃が始まってしまうのを防ぐ・・という話なども知らなかった。(自分は不健康なので、献血は人生で1回しかしておらず、この辺の話は不案内だったなぁ。)

ということで、大変勉強になったが、分かったと思って満足せずに、逆に無数の疑問点をもつことで初めてスタートラインに立てるのだ・・と本書が諭しているように、これからも頑張って勉強していきたいと思う。

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