SFなんて所詮ウソじゃん・・・と思って永年見向きもしなかったけど、1年ちょい前に、やはり100分de名著でスタニスワフ・レムの「ソラリス」を採り上げた時に、実際に宇宙にそういう現象があるかどうかにこだわるのではなく、もしあった場合に人間はどのように行動するのかということが見どころであり、SF作家が書きたいのは実は人間そのものなんだ・・という視点を得るに至ったのであるが、それでもまだぬぐえていなかった所詮SF・・というイメージを今回でようやく払拭できたかもしれない。
私が子供時代に一世風靡をしていた小松左京さん・・天邪鬼な私は単にその一世風靡ぶりが気に入らなかっただけなのかもしれない。
小松左京さんが表現したかったもの・・それを表現する手段がまさにSFだったということなのだろう。
「日本沈没」に書かれた政治家の動き・・・それは小松左京氏が実際に 大阪万博において、政治家と共に仕事をする中で、培われた感覚ではないかと思うし、「ゴルディアスの結び目」の背景に横たわるダンテの神曲の世界観とか、「虚無回廊」で展開される、AIを超えるAE(人工実存)に対する考察など、本番組を経て初めて知った小松左京氏の幅広い見識と深遠なる世界観に感服した。私にそういうものを読み解く力がなかったということなのだ。
ついつい歴史ものばかりに手を出してしまう私だが、残された人生、なるべくジャンルにこだわらずに作品に接したいものである。