浅田次郎/講談社
ついに溥儀が満州国皇帝に即位。
その即位式に当たる儀式は、清朝の時代に比べたらなんとも略式でちぐはぐ。
光緒帝の着た服を着て儀式に臨む溥儀。光緒帝・・と聞いただけで不吉なものを感じてしまうが、光緒帝による戊戌の変法を信じた人たちにとってはそれは由緒正しきものらしい。
清朝の復活と考えたい人たちと、全く違う新しい国と考える人たち。
日本の上層部にもいろんな考え方の人がいて、そんなことを知らない下々の者たちは、満州国に行くことで現状を打破しようと夢をみる。
儀式に出たがる皇后。だが誰が見てもアヘン中毒の皇后を人前に出すわけにいかない。しかも溥儀の子供ではない子を身籠り、その体型は隠しようもない。無理やり腹から引き出されて闇に葬られる赤子・・・。
今から考えると、映画ラストエンペラーは名作だがダイジェストなわけであり、描かれなかった部分にも目を向ける必要はありそうだ。