浅田次郎/講談社
張学良は龍玉を李春雷に引き取ってもらい、肩の荷を下ろしたかのように東北から去ってしまう。爆殺された張作霖の馬賊の魂を受け継ぐ人物として馬占山という人物が出てくる。日本軍に帰順すると見せかけて逃走する様子は痛快。見張りの日本兵を一人は殺すが、もう一人は面識があったため殺さない程度に重傷を負わせるシーンなど、まさに馬賊的な立ち回り。
どんな人物かと思って調べてみたら、細面で長髪で頭に布を巻いた姿が出てきて、なかなか魅力的だ。彼はゲリラ的戦法を繰り返して抗日運動を続ける。
一方、もう一度皇帝になりたいという想いが捨てられない溥儀は、天津を抜け出す。日本の言いなりになるのではなく、自分ながらの女真の後継者としての心意気は忘れていないのであったが・・。アヘン中毒の妻・婉容は不満たらたらで厄介なお荷物でしかないように書かれている。