さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

歴史探偵「飛鳥の八角形古墳」を見て

2021-04-29 14:03:52 | 映画・番組等、各種鑑賞録

この番組、なかなかやるじゃないですか!

毎回すごく力が入っているけれど、息切れしないか心配。

ただ「歴史秘話ヒストリア」の時もそうだったけど、考古学上・史学上の発見は、地味なものも含めて近年相次いでいるようだし、科学技術の発展に伴い、昔できなかった調査やシミュレーションができるようになっているわけであるから、ネタには事欠かないのかもしれないけれど。

今回の調査は奈良県明日香村の「中尾山古墳」。高松塚古墳の近くにある。明日香村だけでも400も古墳があるそうだ。すごいなぁ。

中尾山古墳は発掘中だが、調査が終わったら保存のために埋め戻されるんだって。だから今だけの貴重な機会ということで、近田アナウンサーが現地に飛んだ。

まず最初に出てきたのは、古墳の縁取りの列石。角度を測ってみると、ここもかしこも135度。135度とは正八角形の内角である。

「ここらで7世紀後半の正八角形の古墳と言ったら、間違いなく天皇陵ですね」という専門家の発言で私の脳裏に浮かんだのは天智天皇陵である。山科にある天智天皇陵。今は御廟野古墳(ごびょうのこふん)と言うらしいが、私も行ったことがある。中学生の頃、古代史狂だった私は、この天智天皇陵について、「上円下方墳とされるが、上部は八角形に近い」と書かれている本を目にしたことがある。今、ウィキペディアで見てみると、 八角墳、広義で上円下方墳と書かれている。私の記憶に間違いはなかったわけだ。

ちなみにこちらも何回か入口は見たことがある天武持統天皇陵(檜隅大内陵)。宮内庁管轄だから調査は出来ないが、なんとドローンを飛ばして、斜めから(真上からは禁止)レーザーを照射して分析すると、木を取り去った地形図から正八角形の痕跡が観測されるという。

そもそも正八角形は天皇家と関わり合いが深い。今上天皇の令和の即位礼正殿の儀で使われた高御座も正八角形の天蓋付きの玉座である。

万葉集で、天皇(わごおおきみ/わごおおきみ)にかかる枕詞「やすみしし」も「八隅知し」と書くんだそうだ。八隅・・つまり国のすみずみまで知らす(治める)という意味なんだね。

げ。私、何も考えずに「心安らかに休んでいる人」かと思ってたよ。あぁん、もう~、バカも休み休み・・・!

※あとで調べてみたら「安見知し」という書き方もあり、安らかに知ろしめすという意味もあるそうだが、少なくとも「休んでいる人」という意味はなさそうである。

この番組では、鎌倉時代の盗掘穴(石室扉を開けた隙間)から石室内部を撮影するというボーナス映像も拝見することが出来た。小型であることから一見して、被葬者が火葬された人物で、もし天皇陵なら持統天皇よりも後の天皇であることはひらめくが、その精巧な作りにびっくり。磨かれて水銀朱を塗られた巨石が隙間なくぴっちりと組み合わさり、湿気からたまる水を流すための微妙な段差まで設けられている。隙間だらけの石舞台古墳とは大違いである。

で、番組では、火葬されたとはっきりわかっている人物の中から、文武天皇を被葬者として挙げている。宮内庁が管理している文武天皇陵は別にあるから、ここらへんが苦しい所なのであるが。

この番組が素晴らしいなぁと思うところは、もう一つのミステリーまで言及して終えているところである。従来、この古墳から盗掘された骨壺ではないかと言われていた宮内庁所蔵の「金銅製四鐶壺(こんどうせいしかんこ)」は、この古墳の石室扉の隙間を通れない大きさであり、扉を開閉した跡もないことから、この古墳のものではないことが分かったのである。

では、どこの古墳か・・ということで、もう一人の火葬された天皇である持統天皇にスポットが当たるが、壺に刻印された鳳凰の図柄は、持統天皇の崩御後に唐から入ってきたものと考えられることから、それもまた違うのではないか・・と言う話で終わる。古代には、よりよい材料で棺を変えることもあったことから、埋葬後によりよいもの入れ替えられた可能性もないわけではないのだが・・・。

ま、最新技術を用いても、そう簡単に分かるほど考古学は甘くないので、要するに問題意識を持ち続けることが大事なのだな。

それにしても、金銅製四鐶壺はとても素敵でおしゃれな入れ物である。レプリカとかで復活しないかなぁ。

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