鮎は渓流釣りをする人にとって、宝の魚だ。森深くを流れる清流に密かに生きている幻の魚のイメージである。だが、近年、多摩川にも鮎が数多くみられるようになった。それも天然アユである。ご苦労なことだが、都の職員らが手作業で多摩川での鮎の遡上数を調べているのだそうだ。一匹、一匹、定位置網に入る鮎の稚魚の数えるのである。そのご苦労様のご報告によれば、2019年の台風19号の影響で過去2年間、推定遡上数は大幅に減ったが、今年は回復する見込みという。その推定値は200万匹。過去2年が37万匹、32万匹だったというから、けた違いの多さである。逆に過去2年が台風の影響で、鮎の親が産卵のために河口付近まで降りてこられなかったためだという。多摩川と言いう川は源泉から河口まで、大河の割には短い。私が友達と源泉から河口まで走破できたくらいの短さなのである。だから、ひとたび、台風などが来れば、大水となり、河川敷も何も水であふれ、流される。だから、大雨の後の濁流に、鮎の親も流されてしまうということなのだ。多摩川の濁流は時には川岸の家も流されるが、鮎の親も流すのである。(くちなし亭、2022.05.14)
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