ヒマラヤ山地、チベット高原には従来、広大な氷河が堆積していた。氷河は夏になれば、徐々に溶け、東南アジア、インド、中国などに豊富な水資源を提供してきたのである。だが、温暖化のせいかもしれないのだが、この広大な氷河が通常の溶ける以上の溶け方をし始めて、各地に氷河湖をつくっているのだという。氷河湖とは、氷河が溶けて、土地のくぼみに水が取り残されてできた湖もあるのだが、その名の通り、氷河自身が水をせき止めて、できている湖もある。5月7日、パキスタンの北部にあるシスパー氷河湖が最近のインド地方を襲った熱波で決壊し、大水となり、橋などを決壊させる被害をだしたと報じられている。この氷河湖は明らかに、水をせき止めていた氷河が暑さで溶け、決壊したものだ。今、ヒマラヤ地方やチベット高原の氷河は縮小している。理由は温暖化と一口で言われているがそればかりではないだろう。例えば、人の流入や中国による開拓なども原因かもしれない。ただ、この氷河は南アジアの人々の生命を支える貴重なものなのである。どうしたら保全できるか、考えなければならない時に来ていると思われる。（くちなし亭、2022.05.23）
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