石油事情がアラブの和平化を促進した。

世界的なパンデミックによって、原油の需要は確実に低下している。石油輸出機構（ＯＰＥＣ）の予想によれば、今年の世界の石油需要は日量９４６バーレル減少するという。この減少予想は月ごとに大きくなっている。しかも、パンデミックが長期化したことによって、その現象が一時的なものではなく、新たな日常に変わるかもしれないという恐怖を石油関係者は持ち始めたのである。石油需要の減少傾向はＯＰＥＣだけが予想しているのではないのである。多くの研究機関が長期的な石油需要の減少を予測し始めている。その理由は企業のリワークなどによって、そもそも石油燃料を使う交通機関を利用しなくなるだろうということもある。世界的な旅行ブームなどが去り、人の移動が大幅に減少することは現実のものとなっている。特に、大量移動の代名詞のようになっていた中国人の団体客の国外旅行が無くなるのは眼に見えている。そのような危機感は石油によって潤ってきたアラブ諸国にも強い。今回、イスラエルと国交正常化を行ったＵＡＥとバーレーンも背景には、そのような事情があるのではないかと思われるのである。（くちなし亭、2020.09.21）

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