私はふと疑問に思うことがある。中国や韓国では、一般の庶民が全生涯年収をすべて注ぎ込んでも買えないほどに、不動産価格が暴騰しているのに、政府の金融緩和政策の継続で、バブルがはじけずにいる。でも、これは経済的にどこかに悪影響を生み出すはずである。不動産業界と言うのはすそ野は広い。建設業界やセメントなどの資材産業、さらには、家具や設備など、一つの物件を売ることで、多くの産業が潤うのである。さて、中国では不動産価格が上がりすぎて、売買が成立しないそうだ。中国人が投資用に持っているマンションで、空き家となっているものが5000万戸にも上るそうだ。立派なマンションが林立しているが、その多くの部屋の窓には明かりが灯らない。すでに、富裕層(不動産を持てる中産階級を含めて。)の間の生き残りをかけたゲームが始まっているのだ。ある程度の富裕層になると不動産購入にローンなどは組んでいない。そこから富が生み出されなくても生きていける。だが、中国全体から見れば、これは大問題なのだ。GDPの10%近くの下落をもたらしているという。富裕層は困らないが、そこにぶら下がっている人たちの生活が苦しくなっているのだ。バブルの爆発は無くても、風船がじわじわしぼんでいくような影響を経済に与えているのである。(くちなし亭、2020.09.02)
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