韓国の地下鉄では65歳以上の高齢者は無料で乗れるらしい。ソウル市の地下鉄のように官営に限られているそうだが、それでもすごい。これが法律で定められているのである。韓国では、老人福祉政策の一環で、1980年に満70歳以上の高齢者に対して地下鉄料金を半額にする制度が導入された。これが、65歳に引き下げられ、さらに1984年から「無料」になった。この高齢者無料制度が導入された当時の韓国は若い国で、老人比率は極めてわずかであったのだが、2018年の統計によれば、65歳以上の比率は14%を超えている。そして、この統計が正しいことを示すように。ソウル市の地下鉄に乗車する65歳以上の高齢者の比率も14%を超える。韓国は年金制度が不十分なせいか、65歳以上の方の貧困率は高く、その分、65歳以上で働いている人の比率も高い。若者の職を奪っていると言われる所以である。そんな事情から若者から、この無料乗車についての批判が高い。そして何よりもソウル市の地下手の赤字である。2017年の赤字は552億円にものぼる。朴元惇(パク・ウォンスン)市長は赤字のせいをこの無料乗車のせいにしている。韓国は高齢者を敬う儒教の国と言われているのだが、ソウル市長をはじめ、経済悪化に背に腹は代えられなくなっているのである。ところで、東京都も70歳以上の高齢者に優遇パスを発行している。だから、都バスは高齢者であふれている。昔のように、高齢者が家でくすぶっている時代ではないのだ。(2018.10.30)