中南米の国、ホンジュラスは世界で最も治安の悪い国である。人口が825万人の、この国で年に7320件の殺人が起こる。正式に発表された数字だから、実際は闇に隠れた殺人もそれ以上にあるのだろう。これほどに治安が悪化している理由は銃が自由に持てることだ。法律で、一人当たり拳銃は2丁、ライフル銃は5丁まで所持することを認められている。だからスリなども銃で武装しているから、抵抗すれば殺される。もう一つの問題はこの国に巣くうギャング団「MS-13」の存在だ。アメリカなどに入国を拒否された凶悪犯がホンジュラスに集まってくるのだという。彼らは共通の入れ墨をして、それをひけらかして街を闊歩しているという。どこかの国の時代劇を彷彿させる風景である。国家の機能が無力化しているのである。こんな国こそ、国連の平和維持軍が出動して、治安の回復を図るべきだと思うのだが、国家の主権の方が優先される。そんなホンジュラスの善良な国民はついに国を捨てる。何千と言う人たちが国境を超えて、アメリカを目指して進み始めたのである。先頭はすでにメキシコ国境を突破したという。難民問題はヨーロッパだけの話ではないのだ。この事態にトランプ政権はあわてている。何とかこの行進を阻止しなければ自身の表看板が崩れてしまう。急きょポンペオ国務長官をメキシコに派遣した。国務長官もトルコだ、メキシコだと大変忙しい。(2018.10.20)