現在の世界の基軸通貨はアメリカドルである。IMFによれば、世界の外貨準備に占めるドルの割合は62%と圧倒的である。他はユーロが20%、円が5%、中国人民元が2%程度である。ただ、最近、ドルの比率だが、少しづつ低下しているのだそうだ。これはアメリカ政府の政策によるとも言われている。例えばロシアである。アメリカから経済制裁を受けているロシアは自らの所持するアメリカ国債を減らしている。昨年末の1022億ドルあった外貨準備として保有していた米国債は、今年の7月末には149億ドルと85%も減少したのである。最近問題となっているのは米中貿易戦争に関連しての中国の保有する米国債である。テレビなどでは物知り顔の解説者が「中国が米国債を大量に売るという脅しをかければ、アメリカは法律でこれを無効にできる。」などと言っているが、中国にとってみれば、そんな信頼できないものにお金を蓄えておくことは出来ない。これからはドルでの外貨準備は減らしていくだろう。イギリスが基軸通貨の地位を失ったのは1950年代から60年にかけてである。それまで世界ン基軸通貨であったイギリスポンドは一気にその地位を失ったのではない。世界に大量にバラまかれていたポンドが少しづつ、時間をかけてアメリカドルに代わっていったのである。識者によれば、そのためには何度かの通貨危機が必要だという。ただ、現在の世界には、アメリカドルに代わる基軸通貨候補が見当たらない。現在の趨勢はユーロや円が少しだけ比率を高めているだけである。(2018.10.21)