私は デイジー
「一本だけ頂くわ」
5年ぶりの再会の日
ギャッツビーは
白いバラの花束を
抱えてきた
インチキな履歴を
私の両親に暴露され
私の元を去った ギャッツビ―
裏社会で富を成し
私の家の対岸に豪邸を建て
河の向こうで私を想い
週末に門戸開放の
大パーティを開き
いつかきっと
私もやってくると
待っていたなんて
白いバラは 一本だけ
頂くわ
夫の不貞に悩む私
ギャッツビーと 再び恋に落ちるのに
時間はかからなかった
一緒に逃げる途中に
人を轢き殺してしまった私の罪を
ギャッツビ―は被り
死んだ女の亭主に
撃たれて死んだ
埋葬には
隣人ニックと
はるばる駆け付けた
ギャッツビーの
純朴な父親
そして
一本の白いバラを
墓に放り投げた 私
借りは返しました
私は他の地で
夫と小さな娘と
やり直します
by 風呼