予備校受験の為 平河町の古いホテルに泊まっていた孝史は 夜中にホテルの火災にあう。 逃げ場のなくなった孝史を宿泊客の男が助けてくれるが 2階から2人が降り立ったのは 雪の降り積もった所だった。
ホテルと同じ場所ではあったが そこは1936年2月26日、226事件の現場近くと判明。
孝史を助けてくれた男は 平田といいこの日からこの屋敷の使用人として雇われるらしい。怪我をしている孝史は 奉公先から逃げてきた甥ということで彼の部屋に匿って貰うことになった。
西洋風のこの屋敷は 蒲生憲之という元陸軍大将の住まいだった。
この日決起した皇道派の将校たちとは近しい人だったので責任を感じたからか大将は拳銃自殺をする。
戒厳令が敷かれる事態に主治医が呼ばれるが 肝腎の銃が見つからないので
大将の死は伏せられたまま そこに住む人たちの疑心案着の探り合いが続く。
タイムトリップのSFなのか サスペンスなのか 物語の主旨がよく分からないので何度も読むのを止めようと思ったが 後半になるに従って 人情ものに近くなっていくので何とか読了。
タイムトリップと知った この家の若い女中のふきと 孝史が来た1994年の4月のふきの誕生日に 再会を約す。 現代に還った孝史にとっては50日後だが ふきにとっては58年後の事だ。
孝史という18才の青年の 1週間足らずの 成長記録のようでもありました。
日本SF大賞受賞。
この後、宮部みゆきさんは 直木賞も受賞されます。
by 風呼