家出するなら
ニューヨークと決めていた
一ヶ月でいいから住んでみたかった
詩人 茨木のり子風に云えば
私の若かった頃
アメリカは遠かったので
せいぜいのパック旅行 しかも
ニューヨークは人気でいつも満席
もぐりこめなかった
家出をするならニューヨーク と
せっせと貯金した
ひと月位は滞在できる金額に達したが
あいにくと
現在のニューヨークはコロナ禍で
惨憺たるありさま
コロナ禍が休息しても
私のニューヨークは 後遺症に悩み
もう以前の輝きは失くしてしまっているのだろう
ああ 幻の ニューヨーク
私の目標は いつも準備万端になると
突然 閉ざされる
そういう運命なのよ
by 風呼