アメリカ三大財閥の デュポン家の ジョン・デュポンが 1996年に五輪
レスリングの金メダリスト デイヴ・シュルツを射殺 という事件を扱った
映画です。
ジョンの父母は ジョンが二才の時に離婚。
ジョンは 狐狩りが出来るほどの広大な土地で母親に育てられます。
母親は ジョンよりも サラブレッドに夢中でした。
友だちすら 金で雇われた。 孤独なジョンは 母に愛されたいと
切に願うのですが ことごとく無視されます。
1984年のロス五輪のレスリングで金メダルを取った兄弟がありました。
ジョンは 広大な敷地内にレスリングの練習場をつくり アメリカでは
マイナーな競技を 金メダリストの兄弟をメインに招き ”フォックス
キャッチャー” と名付けて支援します。
ジョンはレスリングが好きなのでした。 (母親は嫌っていたのですが)
ジョン・デュポンは同性愛者でした。
それを察した 弟マークは 精神が不安定になり 惨敗したソウル五輪の後、
フォックスキャッチャーを去ります。
両親が早くに離婚したため 父親がわりでもあった兄が 全身で弟の権利を
守ります。
ソウル五輪の年に母親が死に ジョン・デュポンの奇行がますます顕わにな
っていく。
それから8年後 弟が去った後も コーチとして ”フォックスキャッチャー”
に残っていた兄を 何の前触れもなく ジョンは射殺します。
映画は必要以上に 科白が少ない。
なのに 緊張感は 途切れません。
ジョン・デュポンは 統合失調症と診断され 医療刑務所で14年後に死去。
莫大な遺産の8割が ”フォックスキャッチャー”でトレーニングをつんだ ブル
ガリア出身の金メダリストに相続されます。 彼は服役中のジョンを頻繁に
訪れていたのでした。
上の写真は実際の兄とジョン、 下は弟マークです。
ジョン・デュポンの 品のいいこと!
プログラムに 兄デイヴと親交のあった太田章さんのインタビュー記事が
載っています。 彼は大変な人格者だったそう。 この映画は 兄あって
こそ、 その兄に依存しないと勝てない弟の苦悩 等 よく描かれているそうです。
毎日3時間の特殊メイク中(鼻が、鼻が! だんだん凄い事に・・・)に
ジョン・デュポンになりきっていったという スティーブ・カレルは 今年度
アカデミー主演男優賞の 最有力候補です。 (2/16 観)
by 風呼