狂言劇場 その八だそうです。
野村万作門下による 狂言です。
写真は演目のうちのひとつ ”歌仙” です。
狂言には珍しい 宮中もので 衣装も豪華、 もともとは
謡曲だったそう。
6人登場しますが 六歌仙とは異なります。
右から 柿本人丸、 猿丸太夫(多分)、 在原業平、 小野小町
僧正遍照、 清原元輔(多分)
和歌の神の 玉津島明神に奉納された絵馬から飛び出した六人が
歌問答などして 又 絵馬に戻る という話です。
そもそも 六人の個性が際立たなければ上演できないと云われる
物だそうです。 残念ながら私には 人丸、 小町、 遍照以外の三人は
誰がどれだか良く分からず仕舞でした。
パンフレットに載っていたこの写真は 人丸以外は全部萬斎さんです
が それぞれ個性が出ていて 舞台よりもわかり易い。
清原元輔は 清少納言の父で 百人一首では 「契りきな かたみに
袖をしぼりつつ 末の松山 波こさじとは」 の 作者。 ちなみにこの
歌は 代作だそうです。 ちょっと気弱なのね。
猿丸太夫は ひょうきんなところがあったらしい。 同じく百人一首では
「奥山にもみじふみわけ鳴く鹿の こゑ聞くときぞ いまはかなしき」
と詠んでいます。
「花の色は~」 と詠んだ小野小町と この狂言中にも二人でちょこっと
とんずらしちゃう(出家しているのに)女ったらしの遍照は 「天津風~」
の作者です。
その遍照役に 萬斎、 人丸に万作、 なのですが 今年芸歴80年を
迎えられた万作さんの 芸の衰えが著しい。 芸というより ただの年齢
による衰えかもしれない。 それを気遣ってか 息子である萬斎さんにも
何時もの勢いが見られません。 待てよ 数年前 千駄ヶ谷の能楽堂で
萬斎さんを見た時も ちょっとそう思った。 天下の(彼は世田谷パブリック
シアターの芸術監督)萬斎さんも 能・狂言の世界では まだひよっこだから
かしら と その時は思ったのですが。
ついでに 人丸の歌は 「あしびきの~ 山鳥の尾の~」 で、 業平は
「世の中に~ 絶えて桜のなかりせば~」 結構つまらないですね。
歌詠みの家系の元輔の娘である清少納言は 歌下手を自認していました。
「夜をこめて~ とりのそらねは~」 随筆にしといてよかったですね。
観劇前にこれくらい分かっていたら 居眠りせずにすんだのに・・・
風呼 でした