知人が紹介してくれたシンポジウムに参加するため、東京都荒川区へ。
荒川区民会館『サンパール荒川』
テーマは『「山谷のまち」のこれからを考える』。
山谷地区には、戦後から高度成長期にかけて土木建築業に従事する日雇い労働者が多く集められ、
彼らは簡易宿泊所などで暮らすようになりました。
通称「ドヤ街」とも言われていましたね。
いまはその方達の高齢化が進んで、
生活保護受給や社会的孤立、健康問題など課題を抱えた人々の暮らしを、
地域が連携して支える取り組みが盛んに行われているようです。
山谷地区は「ドヤ街」から「福祉の町」と呼ばれるようになったのですね。
いま日本全体が同じような問題を抱えるようになって、
皮肉な表現ですが「社会がようやく山谷地区に追いついてきた」とも言えると思います。
シンポジウムの主宰は、
そんな『福祉の町』で16年前から活発に活動する「地域ケア連携をすすめる会」。
様々なNPOや病院、診療所、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、薬局、地域包括支援センター、行政、研究機関などの関係者が参加しています。
伺ったところ、呼びかけ人はやはり医師でした。
治療をして病気を治すだけではダメだ。その患者の生活環境にもアプローチしなければ・・・
そんな思いからだったようです。
同会のこれまでの活動や山谷地域の変遷と現状の報告も聞き応えがあったのですが、
基調講演もまた目から鱗ボロボロの素晴らしいお話でした!
東京大学・大学院で建築学を専攻する大月敏雄教授による『共存のまちづくりへ』。
・日本の住宅政策・福祉政策はなぜ分離しているのか。
・「住宅」政策から「居住」政策へ
・「包括的居住支援」という考え方の重要性
・空家という地域財産を活かそう
・「共生」よりも「共存」から
キーワードとしてはこんな感じですが、
特に心に響いたのが「『共生社会』よりまずは『共存社会』から」という概念。
多様な人々の存在を互いに認めあうという感覚は、
正に「共存」という表現の方がフィットする気がします。
その後のフロアディスカッションも、大手新聞記者・映画監督・国交省の役人など
多彩な参加者が発言されて、こちらもとても勉強になりました。
いや~、ここまで足を運んで本当に良かった。
議会質問にも繋がりそうな気がします。