業界の関係者がセミナー
根元の曲りや伐採してからの反り、割れ、黒ずみなどで材木として十分活用されていない魚沼の杉や雑木を特殊熱処理することで住宅の資材、建具材、家具材として役立て産業の創出を図ろうというセミナーが4月28日、小出郷文化会館大ホールで開催された。
このセミナーは、建築、建具、製材、建設などの事業所や森林組合などによる森林を生かす勉強会(坂詰重雄代表)が主催した。
かつて魚沼では地元の木材で家や家具をつくることで経済が循環、そのために森を整備することで自然循環が行なわれてきたが、ライフスタイルや産業構造の変化と魚沼の杉材に問題があり住宅に使いにくい材であることから森林は荒廃し大雨による災害も懸念される状況となってきている。
そんな中、「EDS工法」という熱による生物資源の素材改良を行うことで木材は反り、割れ、曲り等を緩和し、強度、精度、耐久性などが向上することがわかった。
セミナーではまず、武蔵野美術大学の宮島慎吾教授が魚沼の杉材や森林の現状を説明するとともに、魚沼の杉や雑木をEDS処理したところ、根曲り部分も製材後の曲り、反り、割れなどが見られず、中心部の黒い変色もピンク色になったことなどを報告。「魚沼の木を使った長寿命健康住宅事業の展開を推進して産業連携の仕組みを築き、地域の活力と経済効果を導き、雇用拡大に貢献することを計画中です」と述べた。
セミナーではこのほか、工務店や建具店、森林組合の人たちによる座談会が開かれ、EDS工法への期待が語られたほか、イー・ディ・エス研究所の石井幸男所長よりEDS工法が詳しく説明された。また、会場には同工法により処理された魚沼の杉材やそれを使った建具なども展示され訪れた人たちの関心を誘っていた。
同会の坂詰代表は「一般の方から魚沼の木が建築に使えることを知ってもらい、地消地産の循環型社会をつくり地域の活性化につなげたい」と話していた。